著者
工藤 晋平
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.161-170, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

成人愛着スタイルの1つであるおそれ型の攻撃性の高さについては,これまで一貫性のない報告がなされてきた.本研究は攻撃性の抑圧,特にその防衛的な側面の抑圧という観点から,この攻撃性のあり方を検討することを目的としている.P-Fスタディを用いて攻撃性を,日本語版RQを用いて愛着スタイルを測定し,大学生・大学院生の女性206名を対象に分析を行った.その結果,他の愛着スタイルと比べておそれ型には潜在的な水準での攻撃性の抑圧が存在し,特に攻撃性の自己防衛的な側面が抑圧されていることが示された.この結果から,これまで一貫性のなかった知見は,攻撃性の抑圧という同じ現象の異なる側面として捉えられることが示唆された.
著者
工藤 晋平 淺田(平野) 慎太郎
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.140-162, 2017 (Released:2018-10-20)
参考文献数
158

This paper proposes a model explaining both the development and occurrence of delinquency and crime from the perspective of attachment theory. First of all, factors regarding the development of delinquency and crime are summarized, which includes attachment, and then their interactions especially at the onset of delinquency in adolescence are discussed. Then, the relationship between individual differences of attachment and offenses, such as sexual crime, violent crime, and drug abuse, are reviewed. It was concluded that each delinquent behavior connotes deviant forms of both attachment behaviors and attachment figures, that is, such actions relieved offenders from afraid, and in that sense, their actions were thought of as solutions, not problems. The Dual Circle Model of development and occurrence of delinquency and crime are presented as a contribution to the forensic field based on this information. Finally, a comparison with preexisting theories is discussed mainly regarding rehabilitation intervention. Future tasks and prospective studies are also suggested.
著者
工藤 晋平 梅村 比丘
出版者
広島国際大学心理臨床センター
雑誌
広島国際大学心理臨床センター紀要 (ISSN:13482092)
巻号頁・発行日
no.8, pp.23-34, 2011-03-20

愛着に基づいた臨床的介入において個人の愛着状態の把握は欠かせない。本研究ではWaters & Waters(2006)による安全基地に関するスクリプトを捉える測定法(NaS法)の日本での適用について,臨床的な観点から攻撃性の要素を含めた版(NaSA法)も作成しながら検討を行なった。大学生19名を対象に調査を実施した結果,NaS法,NaSA法の評定者間信頼性や内部相関などはある程度確認された。しかし愛着表象測定の質問紙であるRQやECRとはNaSA法のみが理論的に予想される関連を示し,対人葛藤解決方略との関係でも強制方略と負の相関を示すなど,攻撃性の要素を含めたNaSA法の適用可能性が示唆された。しかし,物語の量が全体に少ない,物語同士の関連の低いものがある,などの問題点も見いだされ, AAIを用いての妥当性の検討も含め,今後の検討も必要であると考えられた。
著者
中場 勝 結城 和博 佐藤 久実 佐野 智義 櫻田 博 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 後藤 元#森谷 真紀子#中場 理恵子#齋藤 信弥#齋藤 久美#小関 敏彦#工藤 晋平
出版者
山形県農業総合研究センター
雑誌
山形県農業研究報告 (ISSN:18834655)
巻号頁・発行日
no.3, pp.27-51, 2011-03

「山形100号」は,山形県立農業試験場庄内支場(現山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において,良質の「山形75号」を母に,東北農業研究センターで育成したいもち病に強い「奥羽366号」(後の「ひゅらひかり」)を父に人工交配し選抜育成した水稲品種である.奨励品種決定調査において有望と認められ,2010年に山形県の奨励品種(認定品種)に採用された.熟期は育成地では"中生の晩"に属し,稈長は"中稈",草型は"中間"で,耐倒伏性は「ひとめぼれ」より強い"中"である.いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia,Pii"と推定された.葉いもち圃場抵抗性は"強",穂いもち圃場抵抗性は"極強"である。障害型耐冷型は"強",穂発芽性は"やや易"である.「はえぬき」に比べ,玄米千粒重は3g程度重く,収量性は高い.玄米品質は乳白粒などの白未熟粒が多く発生しやや劣る.胴割程度は,「ひとめぼれ」並に低く,「雪化粧」より明らかに低い.試験醸造の評価は,雑味がなくすっきりと淡麗な酒質となり,甘口,辛口など様々なタイプの酒に対応でき,掛米用として醸造適性に優れる.山形県における栽培適応地帯は,平坦地域から中山間地域で,普及見込み面積は500haである.