著者
市口 政光
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 体育学部 (ISSN:03892026)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.71-83, 1981
被引用文献数
3

Score GraphとV.T.R.を用いて, 世界アマチュア・レスリング競技(Freestyle 1979年)を分析し, 次のような結果を得た。1) 48kg∿+100kg(10階級)の1回戦から決勝まで172試合を対象とした。平均取得点は, 勝者11.78±5.94,負者2.45±2.83であった。2) Initial Pointsすることが勝者となる確率では, 1Period∿78%, 2Period∿87%, 3Period∿81%と2Periodにその確率が最も高く, いずれも先制取得点することが, 有利であることがわかった。3) 立技における全階級の技術頻度は, (1) "Single Leg Tackle"∿334(全体の21%), (2) "Caution"∿303 (19%), (3) "Counter"∿237 (15%), (4) "Double Leg Tackle"∿216 (14%), (5) "Front Head & Arm Control"∿146(9%), (6) "Throw"∿89(6%)の順で多くの技術頻度がみられた。4) 寝技における全階級の技術頻度は, (1) "Single Leg Scissors"∿66(25%), (2) "Bar Arm"∿48(18%), (3) "Gut Wrench"∿38(14%), (4) "Far Crotch Lift"∿36(14%), (5) "Roll Counter"∿29(11%)の順で多くの技術頻度がみられた。5) 優勝者(47試合)の平均取得点は9.83±5.83であった。Initial Pointsの確率では, 1 Period∿84%, 2 Period∿90%, 3 Period∿88%と, 全試合結果と較べると, その確率は極めて高いことがわかった。6) これらの結果から, 世界のトップ・レベルにある選手の攻撃パターンや, 技術頻度がわかり, 今後十分な示唆をあたえてくれるものと考えられる。