著者
佐藤 毅 佐藤 卓巳 川浦 康至 市川 孝一 津金沢 聡広
出版者
一橋大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1991

本研究は情報化が大衆文化のありかたにどのような変容をもたらしつつあるかを明らかにしようとしたものである。この研究の初年度にあたる本年度は、先行研究の収集とその分析を試みつつ、研究の粋組づくりと、若干の個別研究にふみこんだ。研究に大別して二つに分れて行なわれた。その第1は、関東グル-プによって行われた「ヴィデオゲ-ム」を事例にとった研究である。ここではまず研究の粋組づくりが行われ、“人ーメディア相互行為"の位置づけを試みた。すなわち、メディア内世界での人々のメディア依存の深化と高度化が、同時に、そこでの経験の自在感や自律性を高めることを指摘した。次に先行研究を国内と国外に分けてレビュ-し、また新聞と雑誌の記事の分析を通じて、ヴィデオゲ-ムをとりまく、論調の分析を行った。そこでは新しいソフトの開発がきっかけで論調の量と内容に変化が生まれていることがわかった。さらに、来年度の継続研究として、事例調査とアンケ-ト調査に着手している。第2は、関西グル-プによる、「カラオケ」を事例とする研究である。ここではまず家庭における情報・メディア機器の利用実態調査をふまえて、カラオケ歌唱行動やカラオケ文化の変容と類型化の試み、そのメディア社会史の分析などを行った。ここでは、カラオケ文化が高度情報化時代の産業的=技術的基盤の上に成立した現象であること、テ-プ・カラオケからLDカラオケへの移行のなかで、ナイト文化、ボックス文化、ワゴン文化、ホ-ム文化と四つの類型に分けられるに至っていること、そしてそれぞれに人々の仮想の「生きがい」が発散されていることが見出された。なお、本研究の詳細は別冊「情報化と大衆文化ー実績報告書」を参照されたい。
著者
高尾 彰 中山 恭樹 市川 孝治 三枝 道尚 浅野 聰平 荒巻 謙二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.530-533, 2001-05-20

結石性膿腎症から敗血症,播種性血管内凝固症候群(以下DIC)を合併し,最終的に多臓器不全(以下MOF)へ至った症例を経験したので報告する.症例は69歳女性.高熱と意識混濁を主訴に当院に搬入された.膿尿強く,KUBにて左尿管結石を認め,搬入2日目に当科紹介となった.理学的所見および血液検査より,敗血症,DICとMOFの状態であった.腹部超音波検査にて,左水腎症と腎周囲膿瘍と思われる嚢胞状腫瘤を認め,経皮的ドレナージでは不十分と考え同日緊急で左腎摘除術を施行した.術後はエンドトキシン吸着療法と持続的血液濾過透析を行い,全身状態安定したため一般病棟へ転棟,現在は病状改善し経過観察中である.今日の救命医療レベルの向上により,DICやMOFの状態をもたらしていても,感染源の完全な除去を目的とした腎摘除術は,治療法の良き選択肢と考えられる.