著者
元吉 八重子 市川 家國
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.166-171, 2009-11-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
28

糸球体疾患において,高分子蛋白尿の量が多いほど末期腎不全へと移行するリスクが高く,蛋白尿は腎疾患の指標であるのみでなく,さらなる腎傷害の原因となる可能性がある。 糸球体から漏出した様々な蛋白質は,主にmegalinというレセプターを介したエンドサイトーシスにより管腔側から近位尿細管細胞へと取り込まれ,ライソソームへと運ばれて分解されるか,そのまま基底膜側へと運ばれる。それにともなって,MCP-1やRANTESなどの炎症に関わるメディエーターや,TGF-βなどの線維化に関わるメディエーターが尿細管間質に放出される。また,近位尿細管のアポトーシスも惹き起こされる。このように,漏出した蛋白質が直接的な尿細管傷害の起因となることによって悪循環を形成し,慢性腎不全を進行させている可能性がある。