著者
布川 弥太郎 斉藤 順
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.456-458, 1974-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

1.活性炭素, ベントナイト, シリカゲル, デキストリン等の粉体に柿しぶは吸着されるが, このように柿しぶを吸着した粉末担体を清酒に懸濁させても, 蛋白混濁物質を吸着凝集させる働きはなかった。2.柿しぶまたはタンニン酸とグルテン, ゼラチン, ペプトンを反応させて作った凝集物を乾燥粉末にし清酒に懸濁させた場合, タンニン酸との複合体が蛋白混濁物質を吸着凝集して沈降させることが出来た。3.タンニン酸とこんにゃくマンナン, 寒天とを反応させて作った凝集物を凍結乾燥, 粉末にしたものを清酒に懸濁させた場合も蛋白混濁物質を吸着凝集, 沈降させることが出来, 特に寒天との複合体が効果が大きかった。4.併し上記何れの場合も, すべての清酒について万能なものはなく, 清酒の種類によって良く効くものと全然効かないものがあった。
著者
森 孝夫 渡辺 泰三 土佐 哲也 千畑 一郎 岩野 君夫 布川 弥太郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.111-114, 1981-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
9
被引用文献数
3 4

タンニンをリガンドとする吸着体, すなわち, 固定化タンニンについてその重金属イオンに対する吸着特性および醸造用水の除鉄を検討し, 次のことを明らかにした。固定化タンニンは鉄イオン, 銅イオン, 鉛イオンなどをよく吸着した。鉄イオンについては, 第一鉄イオン, 第二鉄イオン, キレートした鉄イオン, 有機酸存在下の鉄イオンはよく吸着したが, フェリクリシンは余り吸着しなかった。固定化タンニンの鉄イオン吸着容量は用いた鉄イオンの種類, 濃度, pHによって変化した。固定化タンニンに吸着した鉄イオンは0.5N塩酸によって溶出され, 再生された固定化タンニンは安定に反復使用できた。鉄イオンを10~40ppb含む某酒造場の用水の場合, 固定化タンニン・カラムの容積の8,500倍量の用水を流しても流出液中の鉄イオンは10ppb以下にとどまった。
著者
藤井 史子 尾関 健二 神田 晃敬 浜地 正昭 布川 弥太郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.757-759, 1992-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5
被引用文献数
24 28

麹の酵素を失活させるため熱風乾燥した麹 (水分含量10%以下) を粉砕し, 糖化酵素剤ででんぷん等を消化除去せず, そのまま50mM燐酸緩衝液 (pH7.0) にて洗浄後, Yatalaseを作用させ, 生成したG1cNAc量をReissigらの方法により定量し菌体量を算出することで, 簡便に麹中の菌体量の定量が可能となった。また, 製麹時間毎の麹中の菌体量の推定も, 酸分解で生じるグルコサミン量と良好に一致した。