著者
平井 宏昭
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

月面基地や有人火星探査のための食料生産への関心が高まっており、イネは宇宙における日本特有の栽培作物候補として極めて有用である。超矮性イネ‘小僧の栖’は世界最小の糯種であり、水田において草丈約30cmのコンパクトな草姿は、宇宙の狭い閉鎖環境内での栽培に最適である。本種を栽培するための装置と管理方法の開発は必須である。また、食味についての評価も必要である。そこで、水田と容器栽培による生育と収量を調査するとともに、コメの成分と食味について明らかにした。さらに、新たなイネ栽培装置を企画し、新規のLED照明を備えた装置を組み立て、性能を評価した。
著者
森 源治郎 平井 宏昭 山口 俊彦
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

Apomixisを人為的に誘導することができれば,これを遺伝的にヘテロな植物の新しい繁殖法として利用することができる.ラン科植物およびヒガンバナ植物を材料にして他種あるいは他属との遠縁交雑において花粉刺激によるApomxis誘起の可能性がについて検討したところ,受粉刺激による果実の発達と種子形成が認められた.また,これらの種子を人工培地に無菌的に播種したところ,正常に正常し,発育した苗の形状Zyg.の自家受粉によって得られた苗と全く同様の形質を維持していることが確かめられた.Zygopetalum × Cymbidiumついて発達中の果実の組織観察を行ったところ,受粉3ヵ月後にはいずれにおいても珠心由来の多胚の形成が確認された.また,染色体の観察においても同様の結果が得られ,結局,得られた種子はApomixisによるものであることが明らかになった.一方、Zygopetalumについて無受粉花に生長調節物質の柱頭処理が果実の発達および種子形成に及ぼす影響について検討したところ,1,2%NAAの効果が最大であった.また,Lycoris3種を用いて種間交雑を行った後,受粉後柱頭にNAA処理を施すと着果率と果実当たりの種子数を増加させ,結果としてApomixisによる種子形成の割合を高めることができた.
著者
和田 光生 池田 英男 松下 健司 神原 晃 平井 宏昭 阿部 一博
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.51-58, 2006 (Released:2006-02-21)
参考文献数
32
被引用文献数
7 22

トマトを 2 月から 8 月まで毎月10日に播種し,NFT ベッドで一段栽培した.一番花開花10日後より遮光率 0%(対照区),30%(弱遮光),55%(中遮光)および83%(強遮光)の寒冷紗で被覆することによって遮光処理を開始し,果実の収量と品質を調査した.7 月から 9 月までは給液する培養液を25℃に冷却した.7 月から 9 月までは給液する培養液を25℃に冷却した. 遮光率が増加するにつれて,1 果重が減少して全果実収量は低下した.全果実収量は播種月ごとに果実発達期の平均日積算日射量によって直線で回帰された.回帰分析の結果から,果実発達期の平均気温が19℃から27℃に高まった場合,平均日積算日射量 1 MJ・m−2 の減少に伴う収量低下量は,84から100 g/株に増加することが示された.対照区の可販果収量は 2 月播種で最も高く,4 月から 7 月播種では裂果の発生によって有意に低下した.裂果の発生は遮光によって有意に抑制された.平均気温が25℃を超えた場合には,日平均積算日射量を 5~6 MJ・m−2 程度まで低下させる遮光によって,可販果収量は増加する効果が認められた.夏季高温時に収穫される果実は滴定酸含量が高かった.遮光によって,果実の糖度は低下し,滴定酸含量は増加する傾向が認められた.