著者
平井 晶子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.7-16, 2003-07-31 (Released:2009-08-04)
参考文献数
25
被引用文献数
2

「家」とは, 世代を超えて永続し, 直系親族により単独相続され, 家業や家産が維持され, 構造的には直系家族世帯を形成するものと定義される。しかし, 庶民層で「家」が一般化した時期については未だ定説が確立していない。本稿では「家」に不可欠な要素である永続性に着目し, 実態としての世帯に永続性が備わっているのかどうかを, 歴史人口学的方法を用いて検討した。その結果, 永続性は不変的に存在したのではなく19世紀以降に一般化したこと, さらに永続性が一般化する前は永続性規範も希薄であったとの仮説を得た。これらの知見は, 17世紀初頭から「家」が存在したとする従来の家族社会学的家変動論や近代になりようやく「家」が成立したとする法制史的家変動論に再考を迫るものであり, 近世から近代への連続性において家の変動を捉える枠組みを提示するものである。
著者
藤井 勝 平井 晶子 SIRIRATH Adsakul YENJIT Thinkham 奥井 亜紗子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

東アジアにおける国際結婚は、「東アジア共同体」の構築を社会的に支える重要な要素となる。しかし現状では、この国際結婚は人権侵害、離婚、暴力など、さまざまな問題点を内包している。本研究は、日本人-タイ人の国際結婚を事例としながら調査研究を行うことによって、この国際結婚の多様な展開の姿を類型論にもとづいて明らかにすると共に、それぞれの類型(あるいは形態)における結婚、家族、地域社会などめぐる特質や問題点を解明した。これによって、今後の国際結婚の発展に資する研究成果を得ることができた。