著者
奥井 亜紗子
出版者
京都女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、兵庫県北部但馬地方から都市飲食系自営業に流入した移動者の事例を通じて、戦後高度成長期における労働力型都市移動と家族変動のプロセスの実証的解明を行った。京阪神を中心に「のれんわけ」で店舗展開をしてきた大衆食堂「力餅」への量的質的研究、及び「力餅」経営主を輩出してきた但馬地方でのフィールドワークを通じて、連鎖移動を通じて食堂の住込み従業員となった人々が親方のサポートのもとで独立開業するプロセスを解明した。親方子方の関係は独立後も継続しており、労働力型移動者の家族形成と都市定着のプロセスにおいて極めて重要な役割を果たしてきたことが明らかとなった。
著者
奥井 亜紗子
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.2-13, 2016 (Released:2017-02-17)

From the post war era to the high economic growth period, there was a mass population movement from rural areas to the cities. These migrants were believed to be the second or third son of agricultural families who were seen as subordinate members to “Ie”. However, recently some empirical studies criticized the theory on the movement of second or third son of agricultural families was an extremely simplified image. Besides, they proved that practically a certain degree of eldest sons who are seen as the successors of “Ie” migrated to urban city before WW2. Furthermore, they also found that the areas with higher education level faced more serious problem in lack of successors. This paper analyzed the process of higher educated eldest son migrated to urban city and formed Japanese modern family in urban city without being a succession of “Ie” based on the case studies in Taki Kyouyukai, a local associations of Sasayama city. According to this research, the formation of credential society in high economic growth period lowered the mental pressure of Elder sons to migrate. The reason was the shift of agricultural high school to industrial high school loosened the counterpart of Elder sons’ life course in their home town. This paper studied how all these changes in high economic growth period affect the relation between Eldest sons who had migrated to urban city and their “Ie” or the society of their hometown.
著者
藤井 勝 平井 晶子 SIRIRATH Adsakul YENJIT Thinkham 奥井 亜紗子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

東アジアにおける国際結婚は、「東アジア共同体」の構築を社会的に支える重要な要素となる。しかし現状では、この国際結婚は人権侵害、離婚、暴力など、さまざまな問題点を内包している。本研究は、日本人-タイ人の国際結婚を事例としながら調査研究を行うことによって、この国際結婚の多様な展開の姿を類型論にもとづいて明らかにすると共に、それぞれの類型(あるいは形態)における結婚、家族、地域社会などめぐる特質や問題点を解明した。これによって、今後の国際結婚の発展に資する研究成果を得ることができた。
著者
藤井 和佐 西村 雄郎 〓 理恵子 田中 里美 杉本 久未子 室井 研二 片岡 佳美 家中 茂 澁谷 美紀 佐藤 洋子 片岡 佳美 宮本 結佳 奥井 亜紗子 平井 順 黒宮 亜希子 大竹 晴佳 二階堂 裕子 中山 ちなみ 魁生 由美子 横田 尚俊 佐藤 洋子 難波 孝志 柏尾 珠紀 田村 雅夫 北村 光二 北川 博史 中谷 文美 高野 宏 小林 孝行 高野 宏 白石 絢也 周藤 辰也 塚本 遼平 町 聡志 佐々木 さつみ
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究課題に関する聞きとり調査、質問紙調査等から、地方社会における構造的格差を埋める可能性につながる主な条件として(1)地域住民の多様化の推進及び受容(2)生業基盤の維持(3)定住につながる「地域に対する誇り」が明らかとなった。過疎化・高齢化が、直線的に地域社会の衰退を招くわけではない。農林漁業といった生業基盤とムラ社会の開放性が住民に幸福感をもたらし、多様な生活者を地域社会に埋め込んでいくのである。
著者
藤井 勝 佐々木 衞 首藤 明和 小林 和美 魯 ゼウォン 奥井 亜紗子 高井 康弘 福田 恵 竹内 隆夫 橋本 泰子 樫永 真佐夫 長坂 格 日下 渉 黒柳 晴夫 北原 淳 橋本 卓 油井 清光 白鳥 義彦
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、東アジアの地方社会を「地方的世界」という観点から、地方社会の形成の論理、現代的な変化の特質、そして今後の発展の可能性や課題を明らかにした。東アジアの地方社会では村落と都市(町)は対立しているのではなく、歴史的文化的伝統の上に成り立つ両者の有機的な関係が形成されてきた。そして、それに立脚して「地方的世界」が存在してきた。したがって村落はもとより、地方都市(町)、そして両者の関係の繁栄や再生こそ、地方社会、延いては東アジア自身の豊かな発展に不可欠であることを明らかにした。