著者
平井 篤造 日下部 健 梅原 隆
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-7, 1972-03-15

[Author abstract]Nuclear dimension in barley stripe mosaic virus (BSMV)-infected barley leaves was measured and the presence of inclusion bodies was tested using light microscope. When the 1st leaves of susceptible barley varieties were mechanically inoculated and the mosaic symptom appeared on the 2nd or 3rd leaves, the nuclear dimension in the 1st leaves (no symptom) was not altered from that of noninoculated leaves. However, the nuclear dimension in the 2nd or 3rd leaves whose mosaic symptom was evident, was larger than that in the respective leaves of noninoculated plants. Increases in the length of nuclei by infection were much more than those in the width of nuclei We found granular and crystalline inclusion bodies in the infected barley leaves by staining with pyronin-methyl green (P-MG) or by "Luxol" brilliant green BL (LBL) and calcomine orange 2RS (CO) and by observing under light microscope. Granular inclusions were stained olive green by LBL-CO stain. Crystalline inclusions were most evidently found in the cells treated with heat (60℃, 5 min.) and with half day starving. Granular inclusions were found simultaneously with the symptom appearance and the number increased later on in the susceptible varieties. On the other hand, in the resistant varieties, granular inclusions appeared before the symptom appearance and afterwards increases in the number stopped. These bodies were found in the 1st (no symptom) and the 2nd (mosaic symptom) leaves. The relation between the nuclei abnormalities and the production of inclusion bodies is discussed.[摘要]1. オオムギ斑葉モザイク病感染オオムギの葉の表皮細胞内の核の面積を測定した。病徴の現れない接種または感染葉では、核の面積は健全葉のそれと変らなかった。モザイクの出現した葉では核の面積は健全葉より約20%大きくなった。長径の増加は短径の増加より大きく、感染によって核は膨大して細長くなったといえる。2. 感染葉内に顆粒状封入体が認められた。それは核に近接して現われ、病徴の出現しない接種葉内にも存在した。また抵抗性品種では病徴の出現前から認められた。3. 60℃温湯5分処理と半日老化処理を併用して、感染葉内に結晶状封入体が現われた。4. 顆粒状封入体の出現と核の変形の関係について考察した。
著者
豊田 秀吉 松田 克礼 平井 篤造
出版者
The Phytopathological Society of Japan
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.32-38, 1985-01-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
15
被引用文献数
4 9

本研究では,マイクロインジェクション法によりトマトのカルス細胞にタバコモザイクウイルス(TMV)を接種するための方法を検討した。トマト品種福寿2号の腋芽から誘導したカルスの単一細胞を,Murashige-Skoogの培地(寒天濃度,0.8%)に包埋した。それを,ペトリ皿に作製した同固形培地(寒天濃度,2%)の中央の穴(直径,3cm)に,厚さが3mm以下になるようにプレートした。包埋された細胞は,インジェクトスコープの位相差顕微鏡により生体観察され,ペトリ皿の中央部底壁面に刻入された格子線によって識別された。マイクロインジェクションには,活発に原形質流動を示す細胞を選び,滅菌ガラス針(先端口孔,0.1∼0.3μm)に無菌濾過したTMV接種液(TMV濃度,100μg/ml)を入れ,その先端部約3μmを原形質に10秒間挿入した。接種操作の成否は,ガラス針をぬいたあとにもその細胞に活発な原形質流動が認められるがどうかで判定した。なお,口径が0.5μm以上のガラス針を接種に使用した場合,そのほとんどの細胞において原質流動の停止や細胞質内容物の流出が認められ,フルオレッセイン二酢酸による生体反応も消失した。TMV接種後,細胞をすみやかに固定しフルオレッセインイソチオシアネートラベル抗体で染色した場合には,螢光化細胞はまったく認められなかったが,接種後26C, 3,000-4,000ルックスの照明下で2日間培養した場合には,接種したほとんどの細胞において顕著な螢光化が観察された。以上の結果から,本方法によってトマトのカルス細胞に効率よくTMVを接種できることが判明した。
著者
尹 泰圭 平井 篤造
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.109-113, 1968
被引用文献数
2

1. トマト苗にTMV単独あるいはTMVとPVXの混合接種を行ない,接種前に2時間苗の根部を浸漬し,接種後地上部に対する散布を毎日連続6回行なつた。またバンデングによる薬液の茎への施用も併用した。根部処理と地上部散布の併用では,後者のみの場合に比較して治療効果が顕著であつた。しかしバンデングの効果は少なかつた。以上の効果判定には,発病率,潜伏期間,ならびに根部のウイルス量の化学定量を実施した。発病率と根部のウイルス量との間に相関がみられた。<BR>2. 薬害軽減のためMn<SUP>2+</SUP>を使用した。鉢植のトマトの地上部成長と根の発育の程度を観察し,あるいは薬液にタバコ葉片を浮遊してその変色程度を比較した。Mn<SUP>2+</SUP>は抗ウイルスの薬害をかなり軽減したが, TMVに対する阻害度を低下させることはなかつた。
著者
豊田 秀吉 松田 克礼 平井 篤造
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.p32-38, 1985-01

本研究では, マイクロインジェクション法によりトマトのカルス細胞にタバコモザイクウイルス (TMV) を接種するための方法を検討した。トマト品種福寿2号の腋芽から誘導したカルスの単一細胞を, Murashige-Skoogの培地 (寒天濃度,0.8%) に包埋した。それを, ペトリ皿に作製した同固形培地 (寒天濃度, 2%) の中央の穴 (直径, 3 cm) に, 厚さが3 mm以下になるようにプレートした。包埋された細胞は, インジェクトスコープの位相差顕微鏡により生体観察され, ペトリ皿の中央部底壁面に刻入された格子線によって識別された。マイクロインジェクションには, 活発に原形質流動を示す細胞を選び, 滅菌ガラス針 (先端口孔, 0.1〜0.3μm) に無菌濾過したTMV接種液 (TMV濃度, 100μg/ml) を入れ, その先端部約3μmを原形質に10秒間挿入した。接種操作の成否は,ガラス針をぬいたあとにもその細胞に活発な原形質流動が認められるがどうかで判定した。なお, 口径が0.5μm以上のガラス針を接種に使用した場合, そのほとんどの細胞において原質流動の停止や細胞質内容物の流出が認められ, フルオレッセイン二酢酸による生体反応も消失した。TMV接種後, 細胞をすみやかに固定しフルオレッセインイソチオシアネートラベル抗体で染色した場合には, 螢光化細胞はまったく認められなかったが, 接種後26C, 3,000-4,000ルックスの照明下で2日間培養した場合には, 接種したほとんどの細胞において顕著な螢光化が観察された。以上の結果から, 本方法によってトマトのカルス細胞に効率よくTMVを接種できることが判明した。
著者
中垣 洋一 平井 篤造
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.187-191, 1967-06-30

タバコ葉から25gと350gの分画遠心分離, およびシヨ糖濃度勾配遠心分離(3,500rpm)を併用して核分画を分離した。この分画は葉緑粒および他の細胞内の諸成分をほとんど含まず, かなり純粋なものであった。ついで, 0.25NのHClでヒストンを抽出した。このようにして得たヒストンはセバラックスのフイルムを使用して電気泳動すると, 2つの分画に分かれた。定量値から, タバコ葉の核はアルギニンの多いヒストンが少量と, 比較的リシンの多いヒストンを大量含むことが明らかとなった。