著者
平地 健吾 大津 幸男 竹腰 見昭 小松 玄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ベルグマン核の不変式論を用いて領域の局所的不変量と大域的不変量を関係付けることを目標として研究を進め,次の二つの方向の成果を得た.1)グラウエルト柱状近傍領域でのベルグマン核とリーマン・ロッホの定理の関係.射影多様体上のアンプル線束Lのm冪の正則断面はmに応じて増加し,その次元はヒルベルト多項式と呼ばれるmの多項式P(m)で与えられる(これはLの大域的不変量である).この多項式をベルグマン核の漸近展開に含まれる局所不変量を用て表示した.ここでベルグマン核はLの双対束に含まれるグラウエルト柱状近傍領域の上で考える.この表示はラプラス変換を用いて具体的に与えられ,とくにベルグマン核の展開の係数とLの特性類の関係式を与える.この結果はベルグマン核と指数定理の関連を示唆している.2)ソボレフ・ベルグマン核の指数に関する解析接続.ベルグマン核の不変式論のソボレフ・ベルグマン核への一般化を行った.これにより,より多くの局所不変量を取り出すことが可能となる.まずソボレフ・ベルグマン核を大域的な双正則不変量となるように定義し,その漸近展開の局所不変量を用いた表示を与えた.さらにこの展開はソボレフ指数に関する解析接続が可能であることを示し,とくに展開の係数として現れる普遍定数がソボレフ指数に関する多項式になることを証明した.これは核関数の解析接続の具体的な計算を可能とする重要な事実である.
著者
平地 健吾 高山 茂晴 吉川 謙一 大沢 健夫 辻 元 本多 宣博 山ノ井 克俊 伊師 英之 野口 潤次郎 山口 佳三 満渕 俊樹 奥間 智弘 神本 丈 松村 慎一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

4回の多変数関数論葉山シンポジウムを開催した.複素解析幾何の運営組織の世代交代を目標とし,世話人代表は順に吉川謙一,伊師英之,山ノ井克俊,本多宣博と神本丈が担当した.今後10年の運営組織が整ったと言える.後半では連携研究者に奥間智弘,松村慎一を加え,2度の特異点の幾何に関する国際研究集会および函数論サマーセミナーを開催した.また研究テーマを絞ったワークショップを3度(放物型幾何学,ベルグマン核,解析幾何学)を行い国際交流の活性化を図った.研究期間内に山ノ井克俊および本多宣博が日本数学会幾何学賞,大沢健夫がアメリカ数学会ベルグマン賞,平地健吾がICMの招待講演者になったことは特筆に値する.