著者
平木 典子
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.49-53, 2021 (Released:2021-10-29)
参考文献数
10

1980年代に始まった心理療法・カウンセリングの理論・技法の整理・統合の試みは,それまでの理論・技法の氾濫による冷戦と単一理論による実践の限界,そして理論・技法の効果研究による共通要因の発見などの影響を受けて開始された.1979年には,SEPI(Society for Exploration of Psychotherapy Integration)が北米で設立され,以後,国際的な理論・技法の洗練を目指した議論が進められた.理論・技法の統合の方法としては,技法的折衷,理論的統合,共通因子によるアプローチ,同化的統合が試みられている.1990年後半に入り,社会構成主義(ポストモダニズム)の多元性と多様性を重視する認識論は,諸理論の共存を重視する理論・技法の洗練を促進し,今や,「カウンセリングの専門家であるセラピスト」と「自分自身の専門家であるクライエント」の協働(コラボレーション)による自己回復の支援が不可欠になった.本論では,心理療法統合の試みと,それに続く協働的,多元的アプローチの展開について論じた.
著者
沢崎 達夫 小林 正幸 新井 肇 藤生 英行 平木 典子 岩壁 茂 小澤 康司 山崎 久美子
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.108-122, 2016 (Released:2018-06-03)
参考文献数
39

日本カウンセリング学会資格検討委員会は,その任期中に新たなカウンセラーの資格について検討を進めることになった。そして,公認心理師資格が実現した中,現在のわが国におけるカウンセリングの位置づけをより明確にし,また日本カウンセリング学会の発展に向けて何をすべきかを,さまざまな観点から議論してきた。認定カウンセラーに続く新たな資格は,将来的には「カウンセリング心理士」として実現される手はずであるが,そこに至る道筋の一端をここに示す。全体の構成は,「カウンセリング,カウンセラーとは(概念,定義,活動内容,領域など)」,「カウンセリング心理学と臨床心理学」,「学校におけるカウンセリングの将来展望」,「カウンセラー資格の現状と課題」,「国際資格について」,「カウンセラーとして学ぶべきこと」となっている。これらを踏まえて,日本カウンセリング学会として,カウンセリングをどのように捉え,どのようなカウンセラーを養成すべきかを明確にし,それを実現するための具体的なカリキュラムと養成方法を検討していくことが今後の課題となっている。