著者
平野 孝典
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.12, pp.43-55, 2013-05-18

本稿の目的は、社会的統合が自殺観に与える影響を明らかにすることである。エミール・デュルケームによって社会的統合と自殺との関係が定式化された。しかしながら、彼はこれらを結ぶメカニズムについての議論を深めることはしなかった。この問題を批判したアンソニー・ギデンズは、社会的統合と自殺を意識・心理・態度によって媒介するモデルを提示する必要性を指摘した。フランク・ファン・チューベルゲンらによる「コミュニティ-規範メカニズム」は、自殺観という態度要因に焦点をあてることにより、この問題に取り組む理論として注目すべきものである。この理論には、社会的統合が自殺観に影響を与えるという仮定がおかれている。しかし、この仮定については経験的知見が乏しく、明らかになっていない点が多い。そこでJGSS-2006を用いて社会的統合と自殺観の関係を検討したところ、以下の知見が得られた。第1に、配偶者を失った人は自殺に肯定的な態度をとりやすい。第2に、子供のいない人は自殺に肯定的な態度をとりやすい。第3に、居住年数が短い人は、自殺に肯定的な態度をとりやすい。以上の結果は、コミュニティ-規範メカニズムの仮定が経験的に妥当であることを示している。
著者
平野 孝一 足立 吉數 Bintvihok Anong 石橋 幸子 熊澤 教眞
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.567-569, 1992-06-15

肝臓からの効果的なアフラトキシンの抽出及びクリンアップの方法について検討した. 先ず, アフラトキシンを破砕した肝臓から遊離させるために, プロテイナーゼKで酵素処理を行った. その試料からの回収試験では, 鶏の肝臓の場合, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で108.1±4.9%(平均値±標準誤差, n=3), 酵素免疫測定法(ELISA)で, 122.0±18.3%(n=3)であった. 豚の肝臓では, HPLCで111.8±5.2%(n=3)・ELISAで120.3±9.1%(n=3)であった. さらに, 幼雛へのアフラトキシンB_1(AFB_1)の投与試験を実施し, その肝臓からの回収試験を行ったところ, 投与後3時間目に高いAFB_1値が得られ, その値は時間とともに, すみやかに低下した. このことから, アフラトキシン汚染飼料を摂取した鶏においては, 少なくともアフラトキシン摂取後24時間以内ならば肝臓から検出可能との知見が得られた. この抽出及びクリンアップの方法を用いて, 血漿からアフラトキシンが検出された野外飼育採卵鶏の肝臓36検体と屠畜場から入手した豚の肝臓6検体及びそれらの豚が食べていた飼料6検体からアフラトキシンの検出を試みたが, いずれの試料からもHPLC及びELISAによってアフラトキシンは検出されなかった.
著者
三井 計夫 三井 豊穂 平野 孝雄
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地研究会誌 (ISSN:04475941)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.104-109, 1960-01-15

新規の草地造成において,先駆作物としてマメ科の野草類と一般の作物との比較で,跡作牧草生育への影響を試験した。(1)前作としての収量は,生育期間の長い場合,カワラケツメイ,ツルマメ,生育期間の短かい場合,青刈大豆,青刈ソバが多収であつた。(2)跡作牧草への影響は前作によつて減収をしめすものはなく,特にツルマメ,青刈大豆は,イネ科牧草の増収がいちじるしい。(3)マメ科野草類の跡作マメ科牧草,特にアカクローバーには負の影響がみられたが,ツルマメ,青刈大豆は影響が極めてわずかであつた。(4)青刈類前作の敷込区は刈取持出区よりも跡作牧草が増収する。しかし刈取持出区の前作青刈類収量と跡作牧草の収量合計よりは下廻った。