著者
幾留 秀一 山根 正気
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
南九州地域科学研究所所報 (ISSN:09110275)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-8, 2009

Faunal survey of ants, wasps and bees was conducted on Take-shima, Mi-shima group, Northern Ryukyus, Japan, in 2007. In total 36 species belonging to 26 genera were collected. Among them 14 ant, 3 wasp and 12 bee species are new to this island. Additional data for the aculeate fauna of Iwo-jima was presented based on the 2007 survey. A revised list of Aculeata from Take-shima, and a comprehensive list of Aculeata for the three Mi-shima islands are presented. Some biological and bio-geographical notes are given for the aculeate fauna of the Mi-shima group.
著者
市川 俊英 倉橋 伴知 幾留 秀一
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.43-59, 2011-02 (Released:2012-12-03)

香川県内の自生植物および栽培植物の花とその周辺で活動中のハナバチ類(ミツバチ上科)の成虫を3年間(1996年~1998年)に亘って観察・採集した.その結果、導入種のセイヨウミツバチとセイヨウオオマルハナバチを含む6科22属54種のハナバチ類が採集された.土着種の中で年間6ヶ月以上の長期に亘る活動はニホンミツバチ(9ヶ月間)およびキムネクマバチ(7ヶ月間)で確認された.また、確認された訪花植物種数はキムネクマバチが最も多く、14科18種、次いでコマルハナバチが9科13種、それに続いてニホンミツバチとトラマルハナバチがそれぞれ8科9種であった.訪花中の雌成虫による盗蜜行動がキムネクマバチとクロマルハナバチで、振動授粉がキムネクマバチ雌、コマルハナバチ雌、トラマルハナバチ雌およびクロマルハナバチ雌でそれぞれ観察された.雌雄異株木本植物のアカメガシワ雄株でキムネクマバチ雌が振動授粉すると花粉が空中に飛散することと、同種雌株で訪花昆虫が確認されないことから、アカメガシワではキムネクマバチが飛散させた花粉によって授粉される可能性が高いと推測された.このため、振動空輸授粉(buzz and airborne pollination)と名付けたこの仮説的な授粉様式の可能性を、熱帯に多い雌雄異株木本植物の授粉様式と対比させながら考察し、訪花活動に関連したクマバチ属の進化過程についても若干推論した.
著者
幾留 秀一
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.416-428, 1979-09-25
被引用文献数
1

1975年と1976年に高知県土佐郡土佐山村において, 4月から10月まで, 月2回, 10時から15時まで, ハナバチ類の種類構成, 相対頻度, 季節消長および訪花性を知るために, 生態的調査を行なった.1. 採集されたハナバチは, 合計6科12属42種701個体であった.2. 種類数における優勢なグループは, コハナバチ科(Halictidae)とヒメハナバチ科(Andrenidae)であり, 個体数における優勢なグループは, コハナバチ科, ケブカハナバチ科(Anthophoridae)およびミツバチ科(Apidae)であった.優占種としては, Ceratina japonica, Tetralonia nipponensis, Bombus diversus, Lasioglossum mutilumおよびB. ardensの5種が認められた.この結果と他地域(高知平野, 吉備, 美並および札幌)での調査結果を比較考察した.3. 季節変動では, 種類数においてコハナバチ科, ヒメハナバチ科およびケブカハナバチ科による晩春のピークが, 個体数において, 春のケブカハナバチ科, 初夏のミツバチ科とヒメハナバチ科による春から初夏にかけての大きなピークと, 初秋のコハナバチ科とケブカハナバチ科, 秋のミツバチ科, コハナバチ科およびミツバチモドキ科による初秋から秋にかけての小さなピークが, それぞれ認められた.また, 優占5種のうち, C. japonica, B. diversusおよびL. mutilumの3種はほぼ全期間を通して, T. nipponensisとB. ardensは春から初夏の期間のみに, それぞれ訪花活動を行なっていた.4. 被訪花植物として, 23科54種が認められた.ハナバチの訪花頻度の高い植物は, キク科, ユキノシタ科およびマメ科で, 訪花個体数の62.4%を占めた.ハナバチ各科の訪花性の特徴について述べた.また, 被訪花度の高い上位の植物種は, レンゲ, ウツギ, ヒメジョオン, ツツジおよびヨメナであった.さらに, ハナバチ優占種の各種植物への訪花度について述べた.
著者
幾留 秀一
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.512-536, 1978-09-25
被引用文献数
1

1). 1975年と1976年に高知平野の3箇所(高知市五台山, 南国市物部, 同岡豊)において, 2月後半から10月後半まで, 月2回, 10時から15時まで, ハナバチ類の生態的調査を行った.その結果, 6科19属68種1447個体のハナバチが得られた.2). 種類数と個体数において, AndrenidaeとHalictidaeのハナバチが優勢なグループであった.優占種としては五台山地区においてTetralonia mitsukurii, 物部地区においてTetralonia nipponensis, Andrena fukaii, 岡豊地区においてLasioglossum apristum, Tetralonia nipponensisなどがあげられる.これらの結果と他地域(吉備, 美並, 札幌)の調査結果と比較考察した.3). 季節変動には, 種類数・個体数ともに春・夏・秋に顕著なピークが認められた.春のピークはAndrenidae, AnthophoridaeおよびHalictidae, 夏のピークはMegachilidae, 秋のピークはAnthophoridaeとMegachilidaeによるものである.また, 3地区の上位3∿4種の季節消長について述べた.4). ハナバチの訪花は, キク科植物に対して最も高く, 訪花ハナバチ個体数の25.3%を占め, Andrenidaeのハナバチが最も多く訪花した.被訪花度の最も高い植物はヤマハギで, 訪花ハナバチ個体数の15.6%を占め, Anthophoridaeのハナバチが最も多く訪花した.また, 優勢な7種のハナバチの各種植物への訪花について述べた.