著者
広常 正人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.12, pp.836-841, 2004-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

清酒の美肌効果は日本酒をよく飲む相撲取の肌の張りや艶に現れていると言われている。 実際, 手の甲に垂れた清酒のひとしずくを摺り込むことによりなんとなくしっとりとした感じを受けるものである。 今回, これらの効果をもたらす物質が清酒中に特異的に存在し, この物質を酵素化学的に増強させる方法について解説していただいた。 今後, この物質についての機能性への注目度が高まり, 清酒の食品機能性の-つとしてクローズアップされるテーマと思われる。
著者
伊豆 英恵 樋詰 和久 後藤 邦康 広常 正人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.646-652, 2008-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

我々はマウスの慢性アルコール性肝障害モデルを用い, 血漿のGPT活性, 血漿・肝臓のTG値を測定して清酒濃縮物 (CS) 及び清酒特異的な糖の1つであるα-エチルグルコシド (α-EG) の肝保護作用を調べた。雄性C57/BL6マウスにLiber-Decalliのアルコール飼料またはコントロール飼料を4週間投与し, この間, CS (3m1/kg体重) またはα-EG (200mg/kg体重) を週5回, 経口投与した。この結果, アルコール摂取で誘導される血漿GPT活性及び血漿・肝臓TG値の上昇がCSまたはα-EGによって抑制されており, CSとα-EGが慢性アルコール性肝障害を抑制することが示唆された。以上より, 清酒にアルコールによる肝障害を軽減する成分が含まれることが推定される。
著者
広常 正人
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.4, pp.221-228, 2013 (Released:2018-01-11)
参考文献数
19

最近では適正飲酒のヒトが最も長寿であるというコホート研究結果が,医学界でも定説になりつつあります。ワインがその発端ですが,酒類,特に醸造酒で幅広く効果が見いだされ,その一端を長年の研究成果からご紹介いただきました。清酒を代表する酒類は,食事をおいしくするためになくてはならない伴侶ですが,その味が忘れられつつあるのは大きな問題です。日本の食文化を維持・発展させる酒類を含めた食育が必要であることに同感です。
著者
湯川 雅之 伊藤 大輔 峰時 俊貴 渡辺 敏郎 広常 正人
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.963-968, 2009 (Released:2016-02-16)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

酒粕の有効活用のため,吟醸酒粕や普通酒粕より資化できる糖質の残存量が少ない液化酒粕を用い,その生理活性を高めたSLIPの製造方法を検討した。液化酒粕をプロテアーゼ剤と共に清酒酵母で再発酵させた結果,米由来の酸性グルテリン,グロブリン,塩基性グルテリンが減少し,TDFとRPの合計量が液化酒粕の1.7倍に高まったSLIPの製造に成功した。試験管レベルで油の吸着実験によりSLIPを評価した結果,メタボリックシンドローム対応素材として市販されている,キノコキトサンの脂質吸着量の約1.5倍となることが確認された。SLIPを摂取することにより,過剰な脂質の吸収を抑制することでコレステロール低下作用や肥満抑制作用が期待できる。