著者
浅 勇輔 広瀬 直毅 千手 智晴
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.39-50, 2007-01-05
被引用文献数
12

能登半島東岸では,台風通過後に度々強い海流(急潮)が発生し,強い振動流が1週間以上継続したとの報告もある。本研究では,急潮の全体像を把握するため,3次元海洋モデルを用いた数値実験を行なった。沿岸観測で捉えられた2004年の急潮の特徴,例えば台風通過後の位相差,1ms^<-1>を超える流速や周期性などを,モデルでよく再現することができた。さらに,能登半島北東沖で発生する吹送流が強い移流効果を伴って沿岸部の急潮を引き起こし,富山湾内ではその急潮が線形的な内部ケルビン波として反時計周りに伝播していくことが判明した。2004年の台風15号,16号,18号の場合を比較し,南西風によって励起される吹送流の強さに比例して,半島北部の水塊が富山湾のより奥まで輸送されることが示された。
著者
磯辺 篤彦 郭 新宇 中村 啓彦 広瀬 直毅 石坂 丞二 木田 新一郎 加古 真一郎 中村 知裕 万田 敦昌
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

日本南岸における黒潮流路変動が、南岸低気圧の経路に揺らぎを与えることを発見した。冬季東シナ海における浅海部の海面冷却は、これに連動した海面気圧と風系の変化を通して、負のフィードバック機構を持つことを示した。瀬戸内海での海面水温分布によって海陸風が変調すること、大潮・小潮周期の海面水温変化に応じて、海上風も変動することを発見した。以上、縁辺海や沿岸規模の海洋過程は大気過程に影響を与え、場合によって相互作用が成立することを示した。また、植物プランクトンの春季ブルームが海面水温を変化させ、これが低気圧の発達に影響を及ぼすといった、大気ー海洋ー生態系の結合過程を提案した。