著者
高須 啓志 広瀬 義躬
出版者
The Association for Plant Protection of Kyushu
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.127-131, 1985
被引用文献数
37

福岡市で一つの圃場に夏ダイズと秋ダイズを栽培し,7月下旬より10月中旬まで,ダイズ加害性カメムシ類の卵寄生蜂の種類とその寄生消長について調査を行った。このダイズ圃場で成虫と卵がともに観察されたカメムシは,ホソヘリカメムシ,イチモンジカメムシ,マルシラホシカメムシ,マルカメムシの4種であった。寄生が確認された卵寄生蜂は,上記4種のカメムシに寄生していたカメムシタマゴトビコバチ,イチモンジカメムシとマルシラホシカメムシに寄生していたTetenomus sp.,ホソヘリカメムシとイチモンジカメムシに寄生していたOcencyrtus sp.,ホソヘリカメムシにのみ寄生していたヘリカメクロタマゴバチの4種であった。カメムシタマゴトビコバチとTelenomus.sp.は7月下旬から10月上旬まで連続してダイズ圃場で寄生活動がみられたが,これは同じ圃場で寄主がその構成種は異ってもほぼ連続的に存在するため,蜂が数世代を繰り返し繁殖したと考えられる。しかし,ヘリカメクロタマゴバチとOcencyrtus sp.は7月下旬から8月上旬と8月下旬の短期間のみ寄生が認められ,この圃場で数世代にわたる繁殖は行われなかった。