著者
河上 康子
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.70-82, 2018-03-05 (Released:2019-10-08)
参考文献数
37

昆虫学をふくむ自然史科学は,アマチュアにもはたすことのできる役割が存在する学問である.その貢献の最たるものは,科学的基礎データとしての地域ファウナの解明と公表であろう.実際日本では,北海道から沖縄まで82の研究会・同好会(http://www7b.biglobe.ne.jp/~jpcat/dokokai.html)が古くから活発に活動し,知見を残す努力を継続してきた.さらに研究をふかめたアマチュアは,新種の記載論文の公表を主とする形態分類学の分野で,プロの研究者とともに記載の仕事を推進してきた.また筆者は2003年以降2017年まで,テントウムシ科の斑紋多型に関する研究を続けている.その過程で,何を調べるためにどのようなデータをとるかという実験デザインと,得られたデータをどのように扱えば知りたい現象が可視化できるかというデータ解析には,プロの生態学者の助けが必須だった.プロの後ろ盾をもらい,また様々な学会に参加して勉強を積むことができれば,論文を公表し生態学への貢献をはたすことが,ささやかではあっても可能であると感じている.
著者
神保 宇嗣
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.73-86, 2017-04-05 (Released:2019-04-05)
参考文献数
18

This is a step-by-step guide for digitizing and publishing insect specimen collection data through the Internet, with a brief review of the current situation of specimen data sharing networks both in Japan and worldwide. Nowadays, web-based database systems are becoming the standard method for publishing specimen collection data. The Global Biodiversity Information Facility (GBIF) is the most important global network, whereas the Science Museum Net (S-Net) is the museum specimen information network in Japan. During the data digitization process, we should focus on the data format adopted by these networks. A set of standard vocabulary, such as Darwin Core and Ecological Metadata Language, is available to describe data item names and metadata, respectively. We should also consider how to specify each record using identifiers in the Internet. A set of three codes, including the institution code, the collection code, and the specimen catalog number, is used as a standard identifier to specify a specimen in a museum collection. Quality control is the most time-consuming task in the digitization process. Functions of spreadsheet software and special tools for data cleansing can streamline the quality control process. Furthermore, we consider the terms of data usage. Recently, data releasing as open data has been recommended in the biodiversity field. The Creative Commons License is used as the standard license in GBIF and S-Net. Insect specimen collection data, written in standard format with proper metadata and published openly, can facilitate and promote data reuse and can be easily shared via networks such as GBIF and S-Net.
著者
奥島 雄一
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.185-196, 2018-09-25 (Released:2019-10-10)
参考文献数
5

倉敷市立自然史博物館では,昆虫に強い興味を持つ小学5年生~高校生を対象とした教育普及プログラム「むしむし探検隊」を始めて17年になる.昆虫に対する興味を継続し,深めてもらい,将来,昆虫学を通じて社会に貢献できる人材の育成につなげることを目的としている.隊員は,1年間を通じて同じメンバーで活動し,野外探検(昆虫採集),飼育・観察や標本作製,雑誌への投稿,博物館での展示・普及行事への参加・発表会といった一連の体験を通して,同志たちと交流を深めつつ,昆虫に関する知識と技術を学ぶ.野外探検に保護者は同伴せず,隊長を務める昆虫担当学芸員とボランティアスタッフが同行する.これまでに総計83名が参加し,参加者の半数以上が2年以上隊員を継続している.高校生時に在籍した隊員は15名おり,その内の12名が生物系または環境系の大学へ進学している.さらに,内6名は社会人となった現在も仕事やアマチュア研究者として昆虫との関わりを継続している.
著者
渋谷 園実 桐谷 圭治 福田 健二
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.19-31, 2017-01-05 (Released:2019-01-05)
参考文献数
60

クロツヤヒラタゴミムシは,日本全国に分布し,幅広い標高に生息する森林性の種で,生息地の変化に鋭敏な反応を示すことから,生物指標種として期待されている.しかし,その生態については不明な点が多い.そこで,本研究では,本種の生活史を明らかにするため,千葉県柏市の里山で2012年4月から2013年4月の期間,32個のピットフォールトラップで44回の定期調査をした.定期調査に加え合計196個のトラップを使用して6月と7月,9月,10月に拡大調査を実施した.さらに,本種の飛翔の有無を確認するために,2013年に年間を通じマレーズトラップ(3基),衝突板トラップ(10基)を設置した.定期調査で捕獲した1,272個体のうち142個体を解剖し,生殖器官の成熟度と飛翔筋の経時的変化を調べた.また,体長と後翅長については,拡大調査で捕獲した901個体を測定した.本種は,5月に新成虫が出現し,7月までの間は未成熟で活動性は低い.その後10月までは活動を停止することから,夏眠すると考えられる.秋に短期間で斉一的に性成熟し,活動性が高まり多数捕獲される秋繁殖型の種である.活動最盛期の蔵卵数は平均109個で,卵サイズはほぼ斉一の小卵多産型である.後翅は長翅型であるが,体長および前翅長に対する後翅の相対比率が小さく,飛翔筋は認められなかった.さらに,マレーズトラップと衝突板トラップで捕獲されなかったことより,長翅型だが飛翔しないと考えられる.本研究は,フィールド調査と解剖を組み合わせたことにより,生殖器官の成熟度や飛翔筋の発達状態などの経時的変化を把握し,本種の生活史の解明に寄与した.これらの知見は,今後,近縁種との比較研究の基礎的資料となるばかりでなく,本研究で採用した方法は,オサムシ科甲虫の生活史に関する知見を蓄積する際に活用できる.
著者
矢島 稔
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.106-117, 2015-10-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
5

(1) 皇居内に幼虫を放流し40年にわたって羽化したヘイケボタルとゲンジボタルの個体数の変化を記録した.放流終了後もホタルとカワニナが世代を重ね,個体数を変動させながらも個体群が維持される生息環境の復元に成功した.(2) ゲンジボタルを野外の水槽で飼育した孵化幼虫の成長の変異に基づき,1年で羽化する個体に加え,羽化するまでに2年以上を要する個体が存在する可能性を指摘した.(3) 関東地方に生息するゲンジボタルは越冬後体長が30mmに達した幼虫が流れから上陸するのは4月中・下旬に限られる(日長時間が13時間以上の雨の夜).この生活史は餌のカワニナの繁殖・生存と密接に関連していると考えられる.
著者
中山 裕人
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.67-74, 2007-12-25 (Released:2018-09-21)
参考文献数
14

従来,日本では北海道と本州から知られていたヒメシカシラミバエを北部九州の犬鳴山系で発見した.本種は九州から記録される唯一のシカシラミバエ類の種である.2004年から2006年にかけての犬鳴山系の調査で本種有翅成虫が多数採集されたが,犬鳴山系には約700頭のニホンジカが生息しており,ヒメシカシラミバエはニホンジカに寄生していると思われた.ヒメシカシラミバエ有翅成虫は犬鳴山系では5月から12月に現れたが,これは本州の既産地に比べると出現終了期が遅く,結果的に長い出現期間だった.本州ではヒメシカシラミバエに加えてクロシカシラミバエが同所的にニホンジカに寄生しているが,ヒメシカシラミバエ有翅成虫は春から秋に出現する一方,クロシカシラミバエ有翅成虫は晩秋から初冬に出現している.犬鳴山系でヒメシカシラミバエ有翅成虫が晩秋から初冬にかけても現れていたのは,犬鳴山系にはクロシカシラミバエが生息していないため,ヒメシカシラミバエとクロシカシラミバエの生態的競合がないからではないかと推察された.また,ヒメシカシラミバエ有翅成虫はしばしば捕虫網の外側に飛来したが,捕虫網の色が白でも青でも飛来傾向に差は認められなかった.加えて,ヒメシカシラミバエは,ヨモギの葉を入れたシャーレ中で120〜135時間(丸5日以上)生きた個体がいたことから,羽化後未吸血のまま5,6日生きる個体も存在しうることが示唆された.
著者
橋本 晃生
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.230-239, 2018-12-25 (Released:2019-12-25)
参考文献数
40

カンタリジンは一部の甲虫類が有する有毒な防御物質である.一方,カンタリジンを生産する昆虫やカンタリジンそのものには,様々な分類群の節足動物が誘引され,それらはカンタリジンあるいはその類似物質を利用する.その利用の仕方は,(1)自身の防御物質として利用(またはメスがオスから交尾時に受け取る婚姻贈呈物に含まれるカンタリジンを用いて自身の卵を防御する),(2)食物/寄主探索に利用,(3)集合フェロモンとして利用の3つに分類できる.このようなカンタリジンを介した種内/種間相互作用を伴う特異な生物群集をカンタリジン・ワールドと呼び,本稿では,カンタリジン・ワールドの研究小史について概説し,その内部における種間相互作用の時空間的変化,さらに種内相互作用として雌雄間でのカンタリジンの授受に関する最新の研究を紹介した.
著者
矢後 勝也
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.48-58, 2018-03-05 (Released:2019-10-08)
参考文献数
18

これまで日本昆虫学会が保全生物学・自然保護に果たしてきた成果・役割について概説した.その内容は以下の通りである:1)英文誌「Entomological Science」には,2016年までに保全生物学やこれに関連する論文・短報が約60本掲載されており,しかも年々増加傾向にあった.特に学会賞が授与されたInoue(2003)やKitahara and Fujii(2005)による研究では,保全生物学分野の重要性が高く評価されている.和文誌「昆蟲(ニューシリーズ)」でも保全生物学関連の論文・報文等が40本程度掲載されている他,年次大会でも毎年多くの発表が行われるなど,本学会は保全生物学・自然保護に関する研究発信の場を長く提供してきた.2)1966年の自然保護委員会の創設以来,本学会は自然保護に深く関わってきた.年次大会での本委員会主催の自然保護シンポジウム・小集会の開催の他,環境省レッドリストやレッドデータブックに寄与し,侵略的外来種への対応でも強く発言してきた.優先保全地域を提示した「昆虫類の多様性保護のための重要地域」シリーズの発行は本委員会最大の功績として挙げられる.また,様々な環境問題に対して国・地方自治体等に要望書を提出してきたことも注目すべきである.3)与那国島でのヨナグニマルバネクワガタや希少な水生昆虫の保全,ゴイシツバメシジミやツシマウラボシシジミのような希少チョウ類の保全など,本学会や他学会からの要望書により実際に進められた絶滅危惧昆虫の実践的な保全活動とその後の成果等も紹介した.その一方で,日本昆虫学会が保全生物学・自然保護に資するべき今後の役割や展望として,研究を主体とした科学的データの提供だけでなく,希少昆虫の回復,保全活動の推進,環境教育の普及などの社会貢献にも供することが必要であることを述べた.具体的には下記の通り:1)希少昆虫の絶滅を招く様々な環境問題に対して,これまで以上に速やかに対処し,科学的知見から得られたデータに基づいて該当機関に要望書を提出したり,学会ホームページや学会機関誌に要望書の内容を公開発信することが重要となる.2)生物多様性条約等の世界情勢も鑑みて,国内希少野生動植物種の昆虫の指定数および指定割合も増える可能性が高く,学会等の意見・対策が一層要求される.3)環境省「種の保存法」の一部改定で「特定第二種国内希少野生動植物種」制度の導入が決定されたが,この制度を機能させていくためには,本学会発行の「昆虫類の多様性保護のための重要地域」シリーズを含む科学的な基礎情報の提供や実践的な保全活動への寄与が必須となる.4)今後の希少昆虫保全のあり方を考える上で,本学会への社会的要請がより強く求められることが予想される他,侵略的外来種等にも迅速に対応するネットワークの構築が急務であり,他の専門機関と連動した新たな体制が不可欠となるだろう.
著者
井上 大成
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.211-229, 2018-12-25 (Released:2019-12-25)
参考文献数
58

茨城県つくば市の森林総合研究所において,1997年から2016年まで,固定した3,300 mのルートに沿って歩行し出現したチョウの種と個体数を記録するトランセクト調査を行った.20年間で63種21,699個体が記録された.各年の4~11月までの調査で記録された総種数は36~43種で,このうち森林性種は21~28種,草原性種は13~18種であった.同様に各年の個体密度(調査1回あたりの個体数)は39.9~91.1個体で,このうち森林性種は8.1~25.0個体,草原性種は27.3~66.1個体であった.草原性種の種数,全種の個体密度および草原性種の個体密度は,年を追って有意に増加した.季節別には,4月,5月,6月,9月,10月の種数,4月,5月,6月,7月,10月の個体密度が年を追って有意に増加した.また全種の個体密度および草原性種の個体密度と,積算温度との間には有意な正の相関が認められた.最優占種は常にヤマトシジミであったが,その優占率は調査の初期よりも後期で低くなった.ヤマトシジミ以外に,10位までの優占種となった回数が10回以上と多かった種は,サトキマダラヒカゲ,モンシロチョウ,キタキチョウ,キタテハ,ベニシジミ,ウラギンシジミ,ジャノメチョウ,イチモンジセセリ,ツマグロヒョウモンであった.調査期間中に個体数が有意に増加したと考えられる種は13種(ツマグロヒョウモン,キタキチョウ,ジャノメチョウ,ベニシジミ,ヒカゲチョウ,ムラサキシジミ,モンキチョウ,ツバメシジミ,メスグロヒョウモン,ナガサキアゲハ,ムラサキツバメ,アカボシゴマダラ,ヒオドシチョウ)で,有意に減少したと考えられる種は8種(ヒメジャノメ,アオスジアゲハ,クロアゲハ,キアゲハ,コムラサキ,キマダラセセリ,トラフシジミ,ゴイシシジミ)であった.多様度指数(H′と1−λ)はそれぞれ2.057~3.710と0.466~0.836,均衡度指数J′は0.387~0.702で,森林性種と草原性に分けた場合,草原性種ではこれらの指数の値が年を追って高くなる傾向があった.密度と多様度指数との関係は,1990年代頃の「低密度・高多様度」から,2000年代頃の「中密度・低多様度」を経て,2010年代頃の「高密度・高多様度」の状態へと移行してきた.個体数が増加した種には,移入種以外では高茎草原・疎林を生息地とする種が多いことから,近年の「高密度・高多様度」は,草刈り頻度の低下および場所による草刈り時期のばらつきと,薬剤散布の中止によってもたらされていると考えられた.
著者
中村 剛之
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.132-137, 2017-07-05 (Released:2019-07-05)
参考文献数
9

エタノールなどの中で保存された液浸標本は時間の経過とともに体や翅が軟弱化したり,退色したりするため,長期保存のためには乾燥標本とすることが望ましい.しかし,すでに保存液中で長期間保存された標本はそのまま乾燥させたのでは体や翅が萎れるなどの変形がおこり,良い状態で乾燥標本とすることが困難であった.体が軟弱化した標本ではなおさらである.このような標本を整形しながら乾燥させる方法として,水を弾く性質がある剥離紙の上で保存液に濡れたまま展翅する方法を紹介した.この方法は双翅目,毛翅目,長翅目,脈翅目類,セキ翅目,咀顎目では有効であった.鱗粉が剥がれやすい鱗翅目,翅がこわばる膜翅目,一部の双翅目ではこの方法で展翅することが難しく,展翅法の更なる工夫が必要と考えられた.
著者
船本 大智 大橋 一晴
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.3-18, 2017-01-05 (Released:2019-01-05)
参考文献数
118

植食性昆虫は,自由摂食,虫えい食,潜葉,種子捕食といった多様な摂食様式をとる.摂食様式の進化的な転換は,植食性昆虫の適応放散において重要な役割を果たす.我々はこの総説で,植食性昆虫において摂食様式を多様化する要因や,摂食様式の転換パターン,それぞれの摂食様式のコストと利点,摂食様式の転換に関連した形質の変化について議論する.特に虫えい食と潜葉への転換に注目し,それぞれの摂食様式の適応的意義に着目した既存の仮説について議論する.最後に,この研究領域において今後行われるべき研究を提案する.
著者
杉浦 真治 深澤 遊 山崎 一夫
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.143-144, 2002-12-25 (Released:2018-09-21)
参考文献数
6

Platurocypta punctum (Stannius) (Diptera: Mycetophilidae) was firstly recorded from Japan based on the adult specimens emerged from a fruiting body of Fuligo septica (L.) (Myxomycetes: Physarales: Physaraceae). We observed the larvae feeding on spores within the fruiting body at Kamigamo Experimental Forest in Kyoto, central Japan. P. punctum may be closely associated with slime molds.
著者
河上 康子 村上 健太郎
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.59-66, 2014-04-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
27

1996年から2002年の期間に海岸性甲虫類の調査を行った,播磨灘・大阪湾・紀伊水道沿岸部の43地点の海浜について,それぞれの面積および孤立度(近接する海浜までの距離)と,海岸性甲虫類の種構成の関係について解析を行った.海浜の面積を説明変数に,海岸性甲虫種の種数,および出現した全甲虫種の種数を目的変数にした単回帰分析の結果,いずれも有意な決定係数がえられ,面積が広いほど出現種数が増加する傾向が見られた.しかし,海岸性種数,全種数ともに決定係数は弱く,面積以外の要因も種数に影響する可能性が示唆された.さらに,調査地点のうち3地点以上の海浜から出現した22種の海岸性甲虫種について,種の在/不在データを目的変数に,海浜の面積と孤立度を説明変数にしたステップワイズ変数選択によるロジスティック回帰分析を用いて解析し,海岸性甲虫の在否に海浜の面積や孤立度が影響するかを検討した.その結果,9種が面積によって有意に説明され,同様に孤立度により1種が有意に説明された.
著者
長澤 淳彦 昆野 安彦 松田 一寛
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.117-118, 2003-09-25 (Released:2018-09-21)
参考文献数
5

Cassida nebulosa L. and C. piperata Hope are common leaf beetles found on the leaves of chenopodiaceous plants in Japan. From the pupae of the two leaf beetles, we found a hymenopterous parasitoid, Holcotetrastichus rhosaces (Walker), which has not been recorded from Japan.
著者
杉本 美華
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.17-29, 2009-03-25 (Released:2018-09-21)
参考文献数
34

日本には約50種のミノガ科が生息しており,幼虫の携帯型の巣筒であるミノは大きさや概形,表面に使われる素材等の特徴で属あるいは種までの同定が可能である.成虫が脱出後の空になったミノの保存性が高いことから,ミノでの同定によって過去の生息範囲を推測することができる.若齢幼虫期のミノは,形態が単純で種の特徴が十分現われていないために正確な同定は期待できず,これまで主に中齢幼虫期から終齢幼虫期のミノが同定に用いられた.しかし,日本産のミノガについて,このような識別形質を含むミノの形態の詳細な記載とその比較はこれまでほとんど行なわれてこなかった.そこで本研究では,ミノの形態から属あるいは種の同定を容易にすることを目的として,日本産ミノガ科23属30種について,成長した幼虫あるいは終齢幼虫のミノの写真を示し,その形態的特徴と蛹化状況を記述するとともに,これまで発表されていなかったミノによる種や属の検索表を2論文に分けて発表する.第2報では,害虫として注目されている種やレッドデータにリストアップされている種を含めた大型種10属11種について記載を行なった.その結果,ミノの本体は円筒形,紡錘形,または円錐形で,表面には種特異的な被覆物がつけられていた.中齢ないし老齢幼虫期のミノは,種や属を同定するための有効な特徴を備えており,これらの特徴に基づいて,30種についてミノの検索表を付けた.
著者
吉松 慎一 仲田 幸樹
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.101-102, 2003-06-25 (Released:2018-09-21)
参考文献数
3

We observed that a fungivorous moth, Diomea cremata damaged the shiitake mushroom, Lentinula edodes (Berk.) Pegler cultivated on synthetic logs (mainly composed of sawdust), which have replaced the use of natural logs over the last decade. It is considered that D. cremata has become a new pest of this fungus. The larvae appear to consume the thick brown mycelial coat formed on the surface of synthetic logs rather than the fresh fruit body.