著者
近藤 康生 延原 尊美 松原 尚志 佐々木 猛智 栗原 行人 中尾 賢一 菊池 直樹
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本沿岸海域に分布する軟体動物の現生種(トリガイ, タマキガイ, ダンベイキサゴ, キサゴ)およびそれらの祖先種4系統のペアについて比較した結果,子孫である現生種の化石記録は,(1)更新世ジェラシアンからカラブリアンにかけての寒冷化期に,(2)分布域北縁付近に現れる;(3)子孫種は温帯性であるのに対して,祖先種は亜熱帯性であり,(4)祖先種に比べて大型である;(5)子孫種は祖先種に比べて沿岸寄りに分布する,という傾向が明らかとなった。これらは,現在,日本列島南岸に分布する貝類の一部がこの気候寒冷化期に分布域北縁付近の沿岸域で種分化したことを示唆する。