著者
木林 和彦 中尾 賢一朗
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

穿通性頭部外傷では脳内に異物が残留することがあり、残留した異物は脳障害の原因となることが考えられる。鉛球を脳内に一定期間留置したモデル動物を作製し、脳の経時的な変化を組織学的・生化学的に解析した。ラットに全身麻酔を施し、大脳内に鉛球または硝子球1個を挿入した。12時間~4週間後に脳を摘出し、パラフィン切片を作製し、免疫染色とアポトーシス細胞の検出を行った。また、大脳皮質のグルタミン酸受容体遺伝子発現を解析した。その結果、脳組織にはNeuN陽性神経細胞の減少、炎症細胞の出現、アポトーシス細胞の出現、メタロチオネイン陽性星状膠細胞の増加等が観察された。また、鉛球留置で遺伝子の発現量が抑えられた。従って、脳内の鉛球は脳を障害することが判明した。
著者
近藤 康生 延原 尊美 松原 尚志 佐々木 猛智 栗原 行人 中尾 賢一 菊池 直樹
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本沿岸海域に分布する軟体動物の現生種(トリガイ, タマキガイ, ダンベイキサゴ, キサゴ)およびそれらの祖先種4系統のペアについて比較した結果,子孫である現生種の化石記録は,(1)更新世ジェラシアンからカラブリアンにかけての寒冷化期に,(2)分布域北縁付近に現れる;(3)子孫種は温帯性であるのに対して,祖先種は亜熱帯性であり,(4)祖先種に比べて大型である;(5)子孫種は祖先種に比べて沿岸寄りに分布する,という傾向が明らかとなった。これらは,現在,日本列島南岸に分布する貝類の一部がこの気候寒冷化期に分布域北縁付近の沿岸域で種分化したことを示唆する。
著者
中尾 賢一
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.252-256, 2000
参考文献数
11
被引用文献数
1

徳島県立博物館に所蔵されている鳴門海峡海底産ナウマンゾウ第3大臼歯化石を,備讃瀬戸・釈迦ヶ鼻沖・野尻湖産の標本と形態・計測値の両面で比較した.その結果,鳴門標本は野尻湖産標本よりやや小型で,菱形歯突起が比較的発達することがわかった.しかし,鳴門海峡標本と釈迦ヶ鼻沖・備讃瀬戸産標本との違いは野尻湖産標本ほど大きさと形態の面で明瞭ではない.