著者
立山 晋 SRI Lespari DARNAS Dana SRI Utami Pr HERNOMOADI H EMIR A.Sireg GATUT Ashadi SINGGIH H.Si 内田 和幸 三澤 尚明 飯田 貴二 山口 良二 延東 真 後藤 義孝 掘井 洋一郎 HERMONOADI Humit A.GANI Asike EMIR A Sineg SRI Utami Rr SINGGIH H Si 村上 昇 AGKA Sri Les 玉井 理 HUMINTO Hern DANA Darnas PRAMONO Sri RUMAWAS Will ASHADI Gatut SIGIT Singgi 吉田 照豊 青木 宙
出版者
宮崎大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究は、インドネシアにおける家畜及び魚類疾病の発生状況の実態調査と各々の疾病の解析を目的に、宮崎大学とインドネシア・ボゴール農業大学の大学間協力研究として行なわれた。平成5年〜7根の3年間で得られた研究成果の概要について大別して下記に述べる。1.インドネシアと宮崎における家畜疾病の発生状況の比較・検討。インドネシアの家畜がおかれている環境を知る目的で、宮崎大学とボゴール農業大学で1990年から1994年の過去5年間に剖検されたイヌの主要疾病について比較・検討した。その結果、ボゴール農業大学で剖検されたイヌ、548例中、もっとも頻繁にみられた疾病は、腸炎(63.5%)、滲出性肺炎(50.6%)、胃炎(48.7%)、間質性腎炎(36.3%)であり、宮崎大学で剖検されたイヌと比較して、これらの疾患の発生率は極めて高かった。この原因として、通常これらの炎症性疾患は、ウイルスや細菌を中心とする伝染病していることを反映しているものと考えられる。日本ではこの様な感染症、特にパルボウイルス、ジステンパーウイルス、伝染性肺炎ウイルス、レプトスピラ等のワクテン接種により、これらの疾患が有効に低減しているため、インドネシアにおいても、同様な防疫対策を図ることにより、これらの伝染病の低減が期待できるものと考えられた。2.インドネシアの家きん疾病の解析。ニワトリ、ハトなどの家きんは、インドネシアの主要な産業動物である。本研究では、ニワトリの伝染性ファブリキウスのう炎(ガンボロ病)とマイコプラズマ感染症について、各々病理学的、微生物学的に調査した。ガンボロ病は鳥類特有の免疫系繊維であるファブリキウスのうを選択的に侵態するウイルス性疾患であり、本症に罹患したニワトリは免疫不全に陥いり、種々の細菌・ウイルスなどに感染しやすくなる。インドネシアにおける本病の漫延状況を知る目的で、インドネシアのニワトリを業収・剖検し、肉眼的にガンボロ病が疑われた36例について病理組織学的に検討した。この結果、36例中24例のファブリキウスのうに著明なリンパ球の減少、細網内及系細胞の増生、線維化などがみとめられ、伝染性ファブリキウスのう炎ウイルスの抗原が12例で検出されたこのことからインドネシアのニワトリには広く強毒のウイルスが漫延しているものと推察された。一方、マイコプラズマ症はニワトリの上部気道感染症であり、本病自身は重大な病変を引き起こすことは稀れであるが、種々の細菌・ウイルス感染症が併発しやすい。本研究では、インドネシアの5つの農場より、ニワトリの血液を採取し、合計49例についてELISA法により、マイコプラズマ・ガリセプティカムの抗体価を測定した。その結果、1農業では抗体陽性率が15.4%と低くかったが、その他の農場では70%〜100%と極めて高い陽性率を示し、マイコプラズマ症が広く漫延している現情が把握された。3.インドネシアの魚類疾患に関する検討。インドネシアのグラミ-養魚場における疾患の発生情況を知る目的で、瀕死のグラミ-50例を剖検し、病理学的に検討した。その結果もっとも高率に認められたのは抗酸菌感染による肉芽腫性皮フ炎であったが、その他、肝や脊づいの変性・壊死など何らかのビタミン欠乏症に起因すると思われる病変が多発していた。これはインドネシアの養魚場では鶏フンをエサとして使用していることから幼魚が種々とのビタミン欠乏症に陥りやすいものと予想された。従って、インドネシアの養魚場における疾患防止のためには、伝染病に対する防疫と同時に飼養形態の改善を図る必要があると思われる。以上今回の大学間協力研究で得られた実績の概要を示した。本研究では、インドネシアの寄生虫病についても若干の知見を得たがここでは省略した。得られた知見については、インドンシアの関係者と協議し、問題点などを指摘した。今回の研究の成果は、今後、インドネシアの家畜・魚類の疾患を低減するうえで貴重な基礎データとなりうるものと期待している。
著者
延東 真
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.115-121, 2004-06-15 (Released:2009-10-26)

The Pharmaceutical Administration and Regulations Law has been revised in Japan during 2003, resulting in a big confusion on fish disease control practice, because limited fish drugs and vaccines have been allowed to use in only a few fishes. This context motivated the Japanese Society of Fish Pathology to organize a symposium (4th/April/2004) at Kagoshima. The symposium was focused on the up-to-date disease control methods with respect to food safety, drug administration with scientific evidences, extension of available fish species in drug and vaccine administrations, responses of fish farming associations and pharmaceutical companies to the revised law. Finally, it was reconfirmed that the drug and vaccine administrations under the tight law and HACCP operations give the safety of farmed fish products to consumers.
著者
高木 修作 村田 寿 後藤 孝信 市來 敏章 ムナシンハ マデュラ 延東 真 松本 拓也 櫻井 亜紀子 幡手 英雄 吉田 照豊 境 正 山下 浩史 宇川 正治 倉本 戴寿
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.279-290, 2005-09-20
被引用文献数
8

ブリの無魚粉飼料給与による緑肝の発症原因を、タウリン補足量の異なる無魚粉飼料で41週間飼育したブリ稚魚における、飼料タウリン含量と体内のタウリン含量、胆汁色素含量および肝臓のタウリン合成酵素活性の関連から調べた。タウリン無補足区では、飼育成績は劣り、貧血と緑肝が高率にみられ、肝臓のタウリン含量が低く、胆汁色素含量が高かった。タウリン補足区では、これら劣悪な状況は著しく改善した。肝臓のタウリン合成酵素活性は、全区で著しく低かった。ブリのタウリン合成能は著しく低く、無魚粉飼料にはタウリン補足が必要であり、無魚粉飼料給与による緑肝はタウリン欠乏に伴う胆汁色素の排泄低下と、溶血による胆汁色素の過剰産生により発生することが分かった。