著者
和田 新平 倉田 修 畠山 仁 山下 亜純 高木 修作 西澤 豊彦 横山 博
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.7-15, 2014-03

2008年に南西海域で養殖されていたカンパチ稚魚に,死亡を伴う疾病が発生した。病魚は左右非対称な腹部膨大と鰓の褪色を呈し,頭腎,体腎,脾臓は腫大して褪色していた。既知の主要な病原体の検出を目的とした微生物学的および分子生物学的検査の結果はすべて陰性であった。病理組織学的に,本疾病は増殖性間質性腎炎および脾炎を特徴とし,増生している単核性細胞の細胞質内に微小な類円形構造が認められた。病魚の腎臓を用いた人為感染試験で病徴が再現されたことから,本疾病は何らかの感染症であり,感染因子として微小な類円形構造が最も疑わしいと考えられ,これらは未報告の真核性微生物であることが強く示唆された。
著者
高木 修作 村田 寿 後藤 孝信 市來 敏章 ムナシンハ マデュラ 延東 真 松本 拓也 櫻井 亜紀子 幡手 英雄 吉田 照豊 境 正 山下 浩史 宇川 正治 倉本 戴寿
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.279-290, 2005-09-20
被引用文献数
8

ブリの無魚粉飼料給与による緑肝の発症原因を、タウリン補足量の異なる無魚粉飼料で41週間飼育したブリ稚魚における、飼料タウリン含量と体内のタウリン含量、胆汁色素含量および肝臓のタウリン合成酵素活性の関連から調べた。タウリン無補足区では、飼育成績は劣り、貧血と緑肝が高率にみられ、肝臓のタウリン含量が低く、胆汁色素含量が高かった。タウリン補足区では、これら劣悪な状況は著しく改善した。肝臓のタウリン合成酵素活性は、全区で著しく低かった。ブリのタウリン合成能は著しく低く、無魚粉飼料にはタウリン補足が必要であり、無魚粉飼料給与による緑肝はタウリン欠乏に伴う胆汁色素の排泄低下と、溶血による胆汁色素の過剰産生により発生することが分かった。
著者
高木 修作 細川 秀毅 示野 貞夫 宇川 正治
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.417-427, 2000-05-15
被引用文献数
6 11

マダイ飼料におけるコーングルテンミール(CGM)の配合許容量を, 0歳魚(初期平均体重53g)および1歳魚(初期平均体重280g)を用いて調べた。0歳魚では15%の, 1歳魚では36%以下のCGM配合区は, 無配合区と同等の平均増重量および飼料効率であった。しかし, 0歳魚では26%以上の, 1歳魚では47%以上のCGM高配合区の平均増重量および飼料効率は劣った。試験飼料の見かけのタンパク質消化率はCGM配合率と無関係に90∿95%と優れていた。マダイ飼料におけるCGM配合許容量は0歳魚で15%, 1歳魚で36%, 魚粉代替率としてそれぞれ30%および70%と判断された。