著者
後藤 忠徳 笠谷 貴史 荒木 英一郎 浅川 賢一 佐柳 敬造
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

H17年度には海底付近で人工電流を発生させた場合の地下構造探査の可能性を数値計算により確認した。2度の調査航海において深海曳航体へ搭載した人工電流源を用いて海底電気探査を実施した。またスマトラ地震の余震活動データなどを解析して海底地震観測の精度の議論を行った。これらの結果に基づき、豊橋沖海底ケーブル先端へ接続可能な海底磁力計や海底地震計などの開発や改良を行った。H18年度にはこれらの海底観測機器の水中動作試験を行った。またケーブル敷設船へ乗船し、豊橋沖海底ケーブルの引き上げ・ケーブル先端への分岐装置取り付け・ケーブル再敷設作業を行った。H19年度には新規に開発・改良を行った海底観測機器を豊橋沖海底ケーブル先端の分岐装置へ接続した。深海での接続作業にはJAMSTEC調査船および無人探査機を用いた。この結果、東海地震想定震源域の海底に地震・地殻変動・地下水流動などの総合観測ステーションを構築することができた。また海底ケーブルに流れている人工電流を用いた人工電磁探査モニタリングも開始することができた。観測成果の一例として、平成19年6月には掛川で発生したM4.3の地震波動に伴って海底電場が変動することが明らかとなった。一方、豊橋沖海底ケーブルを用いた海底下モニタリングに先立って、同海域の地殻電気伝導度構造を知る目的で、H18年度からH19年度にかけて自己浮上式の海底電位差磁力計(OBEM)など、のべ12台を東海沖海域へ設置した。これによって沈み込むフィリピン海プレートやその上の島弧地殻の電気伝導度構造を明らかにすることができた。以上の海底ケーブル観測システムの紹介、海底電気探査の成果および間隙水圧変動に伴う電磁場変動現象に関して、複数の研究成果として報告した。