著者
近藤 純正 徐 健青
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.613-622, 1996-09-30
被引用文献数
8

小型蒸発計からの蒸発量が日射量に敏感であることを利用して, 中国大陸のルーチン気象資料から日射量と大気放射量の日平均値を推定する方法を示した. この方法は, 黄砂などの砂塵で太陽の散乱光は強いが直達光が弱くて, 日照計 (中国ではジョルダン日照計, またはカンベル日照計) が感じにくいときに利用できる. 中国乾燥域における日射量の観測値と, 本研究による計算値との比較では, 観測誤差や場所による違いの範囲内でほぼ一致した. しかし, 大気放射量では, 観測値が大きい場合と小さい場合がある.
著者
小沢 聖 桑形 恒男 藤巻 晴行 一柳 錦平 登尾 浩助 後藤 慎吉 徐 健青
出版者
独立行政法人国際農林水産業研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この原因を解明するとともに、この地下水を有効に利用する栽培システムを開発することである。東北タイの落水水田の土壌水の同位体比(δ18O/δ16O)は、深さ50cmで0時と12時に低下し、深さ70cmでは逆に0時と12時に増加する日変化を示した。この結果は、水蒸気態で深さ30-50cmの土壌水分が0時と12時ころ増えることを示唆する。作物根を深く伸ばすことで12時ころ上昇する土壌水を有効に利用でき、この方法として、溝栽培、穴栽培が有効なことを、石垣、東北タイの圃場実験で証明した。落水水田に存在する地下水は周辺の地下水とは独立しており、雨期に凹地に蓄積されたローカルな資源であった。したがって、その場の落水水田で有効に利用することが望ましい。深さ50cm を対象に、水フラックスを計算したが、水蒸気態による移動は極めてわずかと推察され、水移動の原因、フラックスの解析法等を再検討する必要がある。