著者
志方 守一
出版者
岩波書店
雑誌
科学 (ISSN:00227625)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, 1962-12
著者
Binet F.E. 志方 守一
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.93-99, 1971

伴性、および常染色体遺伝子座における同型接合体頻度を示す数式表現、およびその数値計算を、同胞交配の場合についておこなった。計算に際して用いたモデルは、伴性遺伝子座については3対立遺伝子、常染色体遺伝子座については2対立遺伝子を想定し、いずれの場合も1遺伝子座を考慮した。前老については遺伝子型頻度を用いず、交配型を用い、後者については遺伝子型頻度の1種の平均値を用いた。双方につき、代数的表現を導くとともに、数値計算を例について行ない、表に収めた。後者の例については、BINETとLESLIE(1960)の結果が本報告の特殊例であることを指摘した。BINETとLESLIE(1960)は2倍体の2つの対立遺伝子について兄弟姉妹交配を続けた場合の第γ番目の世代におけるヘテロ接合子の頻度は、最初のヘテロ接合子頻度のh<SUB>r</SUB>倍であることを示した。ここではh<SUB>r</SUB>はh<SUB>r</SUB>=0.948<SUB>e</SUB><-0.212r>[1+(-1)<SUP>r</SUP>・0.0557<SUB>e</SUB><-0.952r>].本報告では、この結果との比較をも行なうこととする。第1の場合として、2種類の性によってのみ生殖が起る場合を想定し、それら2種類の性をXXおよびXYでそれぞれ表わす。3種類の対立遺伝子をO、A、Bとし、X<SUB>A</SUB>、X<SUB>B</SUB>、X<SUB>O</SUB>の如くに性染草体上に置かれた遺伝子を(A)、(B)、(0)と書くことにし、それらにより作られる遺伝子型を(OO)、(OA)、(OB)、(AA)などと書く。これらの遺伝子または遺伝子型を交配する時の交配型を本文中の表の如く4つの型に類別し、この4種類の交配型の第γ世代における頻度r<SUB>P</SUB>_m,(m=I,II,III,IV)を求めることができて、表IIの如き結果が得られる。常染色体については、同じく兄弟姉妹交配を繰返すとき、近交係数の回帰方程式を書き下すことが知られている。この回帰方程式に適当な初期条件を与えることにより、ヘテロ接合子あるいはホモ接合子の各世代における頻度を計算することが可能である。本報告では、最初に掲げたBINETとLESLIE(1960)の求めたヘテロ接合子の頻度を求める式が、特定の初期条件にのみ対応するものであることを指摘し、一般化近交係数を用いてベクトル方程式を考慮することにより、可能な初期条件のうち任意の条件から出発して逐次、各世代のヘテロ接合子頻度を求めうることを示した。伴性遺伝子、常染色体遺伝子の双方につき、兄弟姉妹交配の繰返しによるヘテロ接合子頻度を何世代かについて例示し、作表した。本報告で触れた回帰方程式、および数値計算結果の性質については、次の機会に述べたい。
著者
志方 守一
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.307-314, 1968

同胞交配を仮定し、近交係数における交叉の影響を数値的に調べた。例として、2遺伝子座の場合をとり、近交係数の数式表現を示し、それに各種の初期条件を与えて数世代の近交係数の変化を計算した。組み換えの確率として、7種類の確率を用いた。多くの場合に比較的大きい交叉の影響が認められた。