著者
志村 二三夫 森内 幸子 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.159-163, 1975-05-31 (Released:2009-11-16)
参考文献数
15

小腸のCa吸収に対するリジンならびにD3の影響を観察した。白ネズミはたん白質をアミノ酸混合物に置き換えたD欠乏飼料を用いて飼育した。白ネズミ体重の増加はリジン1.35%・D3投与群が比較的良く, これに続いてリジン1.35%・D欠乏群であり, リジン0.45%投与群の体重増加は比較的悪く, さらにD投与による差異は, ほとんどみられなかった。反転腸管を用いる45Ca輸送能は, D欠乏状態ではリジンの含有量による差異はみられなかったが, D3投与による増大効果は, リジン1.35%投与群はリジン0.45%投与群に比して大きかった。十二指腸粘膜のCaBPにも, 同様の傾向が認められた。小腸の45Ca吸収に対するリジンの促進効果は, Dを介して発揮されるものと考えられる。
著者
高瀬 幸子 森本 絢美 志村 二三夫 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.309-317, 1975-10-15 (Released:2009-11-16)
参考文献数
10

比較的生活環境の類似している女子大生343名の対象について, 不定愁訴と食生活との関連ならびにそれらをとりまく諸要因との関連を観察した。1) よく眠れない者, あるいは睡眠時間の短い者, 長い者, 夢を多くみる者に愁訴数が多かった。また, 現在の生活に満足していない者, 生きることに対し退屈感をもつ者に愁訴数が多かった。 喫煙者や鎮静剤などを常用する者にも愁訴数は多かった。2) 欠食回数の多い者, 夕食時刻の一定でない者, さらに, 食事の不規則な者に愁訴数が多かった。 しかしながら, 目的があって欠食している者には, そのような傾向は比較的みられなかった。3) 食事摂取の規則性とこれに関連する睡眠, 生活状態, 居住条件などとの相互関連について考察した。 これらの諸要因は, 食事の不規則性との関連を示しながら不定愁訴の発現とも関連していた。以上の結果から, 目的意識をもって規則的な日常生活ならびに食生活をおくるものには愁訴は少なかった。
著者
ブイ ティ ゴク ハー 端田 寛子 倉若 美咲樹 舘花 春佳 有田 安那 佐々木 菜穂 志村 二三夫 山崎 優子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.85-97, 2018-03-31

【目的】植物の二次代謝産物を用いるハーブサプリメント(HS)の利用に伴う健康被害例は少なくない.特に医薬品との相互作用に関わる薬物代謝酵素cytochrome P450(CYP)の関与が指摘されている.そこで,HSの安全性確保には,適切なリスク評価が必要であると考え,これまで複数のHSについて食品添加物の安全性評価の手法に準じた肝CYPへの作用を指標とした製品対象動物試験を実施してきた.本研究では,アマチャヅル(学名 Gynostemma pentaphyllum :英名 Sweet tea vine (STV), Jiaogulan)製品を対象とした.STVは,その成分ダンマラン系サポニンに健康効果が示唆され,ベトナム等で人気が高い.食経験は比較的豊富であり,近年ベトナム人を対象とした無作為化比較試験により,耐糖能効果が示され注目されている.しかしながら,医薬品等との相互作用は不明である.そこで,製品の安全性を検討した.【方法】米国A製品とベトナムブランドB製品は純水に懸濁し,一日推奨目安量の100倍量をSD系雄ラット(約200g)に8日間反復胃内投与した.系統差の検討ではGK(Ⅱ型糖尿病自然発症モデル)ラットおよびWistar系ラットを用いた.肝CYP分子種の遺伝子発現は,酵素活性,タンパク質,mRNAレベルで検討した.【結果】2種のSTV製品投与による肝臓重量への有意な影響はなく,共通してalkoxyresorufin O -dealkylase活性が上昇していたが,mRNA発現はCYP1A2が軽度に上昇した.これはWistar系,GKラットでも同結果であった.なお,CYP1A1 の発現に関しては,製品差と系統差がみられた.【結論】STV製品は品質等により,より強いCYP1A誘導作用を持つ可能性がある.本法のような試験を事業者が実施することは安全性確保に有用である.
著者
名倉 秀子 山﨑 芳江 栗﨑 純一 志村 二三夫 橋本 真 八巻 公紀 尾崎 健市 白砂 正明 大村 相哲 松村 千香 堀江 寿美 中林 富嗣 河西 康太 岩下 隆
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.25-34, 2017-01-25 (Released:2017-10-17)
参考文献数
16

We conducted an examination of quality control for five school lunch meals offered in June and November. The differences in weight and nutrient content between the time of menu planning and the time the meals were served were measured as yield and nutrient retention factors, respectively. The yield factor was derived from the ratio of the weight of the total ingredients at the time of menu planning to the weight of the school lunch meal served. The yield factors for the five school lunch meals ranged between 87% and 94%, revealing a loss during the preparation process. Furthermore, seasonal ingredients were found to affect the yield factor of dishes using such ingredients. The nutrient retention factor was obtained by measuring the ratio of the nutrient content value of total ingredients at the time of menu planning to the value of the content analysis of school lunch at the time of serving. In all five school lunch meals, a significant decline in the nutrient retention factors was observed for energy content, calcium, magnesium and zinc. Furthermore, significant increases in vitamin A and dietary fiber were observed. However, no differences were observed for protein, fat, carbohydrates, sodium, iron, vitamin B1, vitamin B2, and vitamin C. as the intake amounted to 95% of the weight of the food served and the nutrient intake exceeded 95% for most nutrients except vitamins A and C, the school meals were found to be of high quality,. The quality evaluation of school lunch based upon the yield and nutrient retention factors revealed the need for identifying and investigating the causes of loss or gain during the preparation process to achieve quality improvements.
著者
森内 幸子 志村 二三夫 梨本 光太郎 細谷 憲政 小林 正
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.225-232, 1975-06-25

1α-OH-D_3の十二指腸における^<45>Ca輸送能並びに血清Ca濃度に対する効果を, 腎臓摘出D欠乏シロネズミを用いて観察した.312pmolの1α-OH-D_3を投与して24時間後の十二指腸における^<45>Ca輸送能の増大は, 腎臓摘出動物においても観察されたが, 血清Caの増大は擬似手術を施した群では観察されたが, 腎臓摘出動物においては観察されなかった.1α-OH-D_3の投与量を6,250pmolにして, はじめて血清Caに対する効果が腎臓摘出動物においても観察された.すなわち, 1α-OH-D_3は骨からのCaの溶出作用は弱いが, 小腸からのCaの吸収に対する作用は大きい.それ故, 1α-OH-D_3はDの代謝異常によるD不応性くる病の治療に有効な物質と考えられる.また, 小腸に対する作用と骨に対する作用に差異の観察されたことは, まだ発見されていない1α-25-(OH)_2-D_3以外の最終活性物質が腎臓で生成されて骨に対して作用することを示唆するものと思われる.