著者
中道 正之 安田 純 志澤 康弘
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では、自然・科学教育の重要性が叫ばれている今日において、動物園はその絶好の場所と捉え、動物園における人と動物の相互作用についての基礎研究を行い、「動物園行動学」という新しい研究分野を確立することを意図した。このために、来園者の行動、動物の行動、動物と来園者の相互作用を記録した。今年度は、特に実際に動物園に来て、動物を直接見ることによって、「好きな動物、見て楽しめる動物」が変わることを確認した。これは、動物園で実際に動物を見ながら楽しむことによって動物への印象が変わることを意味している。また、動物園で新築されたサルの新動物舎が、来園者にどのように評価されるのかを、行動観察、来園者へのアンケート調査で分析した。新動物舎の展示環境が見やすいことが、来園者の滞在時間を増加させること、そして、動物を見つけ出そうとする探索行動も増加することが、旧動物舎との比較から、確認できた。直接観察とアンケート調査の併用で、新動物舎の簡便な評定が可能であることを実証した。自然の中で暮らすニホンザルを近くで見て楽しむことが可能な野猿公園での来園者の意識に関する調査も、昨年度に続いて行った。来園者の関心は、おとなよりも子ザルに、動きの乏しい休息時のサルよりも、毛づくろいなどをしてかかわっているサルや遊んでいる子ザルに対して高かった。また、寿命などの生物学的な点だけでなく、母ザルと子ザルの関わりなどに注目する傾向が確認された。教育価値としての野猿公園の潜在力が確認された。
著者
日野林 俊彦 南 徹弘 安田 純 志澤 康弘 赤井 誠生 新居 佳子 南 徹弘 安田 純 志澤 康弘 赤井 誠生 新居 佳子 山田 一憲 加藤 真由子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

2008年2月に日本全国より41,798人の女子児童・生徒の初潮に関わる資料を収集した。プロビット法による日本女性の平均初潮年齢は12歳2.3ヵ月(12.189歳)で、現在12歳2.0ヵ月前後で、第二次世界大戦後二度目の停滞傾向が持続していると考えられる。初潮年齢は、睡眠や朝食習慣のような健康習慣と連動していると見られる。平均初潮年齢の地域差は、初潮年齢が各個人の発達指標であるとともに、国内における社会・経済的格差や健康格差を反映している可能性がある。