著者
松本 卓夫 久保寺 静 志田 敬介 松川 弘明
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.65-74, 2021-04-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
22

近年スマート工場に関する研究が注目を浴びている.Industry 4.0に代表される第4次産業革命ではスマート工場が主役となっており,多くの研究論文が発表されている.しかしながら,その多くは自動化,知能化,IoT(Internet of Things), AI (Artificial Intelligence) に関するものであり,運営における同期化や柔軟性を考慮した設計に関する研究は見られない.本研究では,プロセスチーズ工場における乳化工程と充填工程を対象とし,設備償却費用,稼働費用,同期化費用,および柔軟性費用を考慮した設計問題を考える.スマート工場は必要なものを,必要な時に,必要な量だけ,効率よく製造することが必要条件であり,需要の変動など外部環境の変化や内部環境の変化に柔軟に対処できるように設計する必要がある.工場を設計するときに運用,同期化,柔軟性を考慮することが工場のスマート化に貢献できると考え,投資決定変数と運用決定変数を用いてモデル化を行う.乳化工程と充填工程には複数の設備を設置することができるとし,設備能力と台数の組み合わせを最適化することを目的とする.投資と運用を同時に考える場合,目的関数が非線形になる.そして,組み合わせ数が膨大になり組み合わせ爆発を起こすため,問題の特徴を用いて階層化し,効率的に最適解を求めるアルゴリズムを提案した.また,提案モデルは数値実験を通じてその妥当性を評価し,さらに事例研究を通じて既存工場の運営を評価すると同時に,非合理的な投資を合理的にするための分析を行った.
著者
阿部 雅二朗 丸山 暉彦 杉本 光隆 志田 敬介 仲川 力 藤野 俊和
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

不整地盤上作業機械とその運転者である人間よりなる系において、複雑条件下の機械転倒安全性を快適に確保するシステムの構築を目的に、運転室シミュレータと小型クローラクレーンおよびその支持地盤モデルよりなるリアルシミュレータに加え、クレーン-支持地盤系のバーチャルシミュレータを開発した。これらシミュレータより機械の転倒限界状態近傍における運転者の運転・生体特性と機械およびその支持地盤挙動との相関関係を総合考察し、転倒安全快適確保のための基本原理を示した。運転支援システムの試作および有用性確認も実施した。
著者
松本 俊之 志田 敬介 金沢 孝
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.332-343, 2002-02-15
被引用文献数
4

立位姿勢・3次元作業域における動力式ドライバーを用いたタッピンねじ締め作業において, 作業方向と作業位置による作業者の作業姿勢が締結品質や作業負荷に影響すると考えられる.このことを確かめるための実証的研究を行った.実験結果から, 作業可能と思われている作業方向と作業位置でも締めつけトルクが許容範囲を下回ることがあり, 不良締結となる場合があり, 不良締結となる作業方向と作業位置は, 左方向では身体の右側の作業位置, 前方向では身体の前方の遠い作業位置, 下方向では身体の高い位置であることが判明した.また, 作業方向と作業位置によって, 最大押圧力と最大傾き力は一様でなく, 力をかけすぎる作業方向と作業位置は, 左方向では身体の正面の作業位置, 前方向ではほとんどの作業位置である, 傾き力が大きい作業方向と作業位置は, 左方向ではほとんどの作業位置, 前方向では低い作業位置であることが判明した.作業設計と製品設計において, これらのことを考慮する必要がある.