著者
金沢 孝文 梅垣 高士
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1972, no.2, pp.335-338, 1972-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
3

乾式合成したβ-リン酸カルシウム,フッ素アパタイト,β-ピロリン酸カルシウム,レナニットおよび湿式合成した水酸アパタイト,リン酸-水素カルシウム二水塩の計6種のリン酸カルシウム塩類を,塩酸,クエン酸液,中性クエン酸塩溶液に投入して溶解熱の測定を行った。β-リン酸カルシウムは同じ程度のpHの塩酸およびクエン酸液に対する溶解発熱量が等しく,水素イオン濃度と溶解熱とは密接な関係がある考えられる。しかし,カルシウム塩類のクエン酸液への溶解のさいには,溶触にいちじるしい特徴が認められず,クエン酸基とカルシウムとの錯形式を熱化学的に検知し論議することが困難であることがわかった。β-リン酸カルシウムの溶解量を変化させても,2%クエン酸液と10%クエン酸液でカルシウム塩溶解量が小さい場合とでは,モル溶解熱がほぼ一定で,発熱量はβ-リン酸カルシウムの溶解重量に比例するとみなせる。0.5%塩酸への溶解のさいの発熱量は,乾式合成試料では,β-リン酸カルシウムがもっとも大きく,ついでレナニット,フッ素アパタイト,β-ピロリン酸カルシウムの順となった。
著者
松山 恒明 小金沢 孝昭 鎌田 慶朗 渡辺 孝男 田中 武雄 中屋 紀子 本田 強
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、総合講義「学校給食」の実践を行なう中で、研究会や現地見学を行いながら、教員養成課程で行なうべき「学校給食」関連の講義内容を検討してきた。調査・検討の結果、まず第一に学生の反応であるが、学校給食や食に関する内容について関心が高く2年間とも各300人の学生が受講した。学生たちは、学校現場で行われている学校給食に関心が高く、またこれらを客観的に捉えることのできるこの講義に興味を示した。学校給食への理解については、講義開始時のアンケートで子供たちと食べる昼食程度にしか学校給食を捉えていなかった学生も、講義終了時には学校給食が食や環境、健康を理解する上で重要な教育機会であることに気づくようになった。この点については各年度に行なった学生アンケートに詳しく報告されている。第二に講義内容であるが、2年間の講義実践と学生の反応によって教員養成課程の「学校給食」の講義内容は概ね4つの領域で講義すると、「学校給食」の持っている教育機会を説明することが可能であることが明らかになった。1つは学校給食の現状とその安全性についててある。ここでは学校給食がどのような目的のために、どのように運営されているのかを実践報告を交えながら講義した。2つは、こどもたちの食生活がどのような状況にあるのかを明らかにすることである。日々の食生活でどのような点に問題点があるのか、学校給食で補える課題を整理した。3つは学校給食で食べている食がどのように生産されているのか、食についての基礎知識の習得である。とくに食と環境とのつながりにも留意した。4つは食と健康とのつながりについての基礎知識の習得である。食事が健康にどのように関連しているのかを具体例をあげて講義した。これらの研究成果は、昨年度の中間報告書と今年度の最終報告書に整理してあるが、この研究を通じて、学枚での食・栄養教育の重要性ならびに教員養成課程での学校給食に対応した講義の必要性が確認された。また、今後は各教科と学校給食とを連携させた栄養教育の研究が課題となった。
著者
松本 俊之 志田 敬介 金沢 孝
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.332-343, 2002-02-15
被引用文献数
4

立位姿勢・3次元作業域における動力式ドライバーを用いたタッピンねじ締め作業において, 作業方向と作業位置による作業者の作業姿勢が締結品質や作業負荷に影響すると考えられる.このことを確かめるための実証的研究を行った.実験結果から, 作業可能と思われている作業方向と作業位置でも締めつけトルクが許容範囲を下回ることがあり, 不良締結となる場合があり, 不良締結となる作業方向と作業位置は, 左方向では身体の右側の作業位置, 前方向では身体の前方の遠い作業位置, 下方向では身体の高い位置であることが判明した.また, 作業方向と作業位置によって, 最大押圧力と最大傾き力は一様でなく, 力をかけすぎる作業方向と作業位置は, 左方向では身体の正面の作業位置, 前方向ではほとんどの作業位置である, 傾き力が大きい作業方向と作業位置は, 左方向ではほとんどの作業位置, 前方向では低い作業位置であることが判明した.作業設計と製品設計において, これらのことを考慮する必要がある.