- 著者
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志立 正知
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.7, pp.46-55, 2010-07-10 (Released:2017-08-01)
中世後期における地方武家の家伝・系譜伝承の形成過程について、安藤氏による「下国家譜」を例として検討を加えてみた。従来は、その成立時期が不明確であったために、かなり幅広く形成期を想定して、在地伝承などの形成と重なるものとして理解する意見が多かった。しかし、平川氏の問題提起を受けて、拙稿ではそれを検証しながら、成立時期が平川氏の想定よりも若干下る十五世紀中頃以降である可能性を指摘、その時代に安藤氏が置かれていた情勢の分析から、「下国家譜」に、長年にわたって抗争を続けていた南部氏を意識した津軽・秋田における先住権・支配権の主張という一面が認められること、さらには家譜編纂作業が、京都・羽賀寺と本拠を結ぶネットワーク上に想定する方が自然であることを指摘した。