著者
奥 恒行 田辺 賢一 渡邊 有希 尾野 春子 成瀬 真理 中村 禎子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.233-240, 2007-10-10 (Released:2009-01-30)
参考文献数
22
被引用文献数
4 6

本研究ではフラクトオリゴ糖 (FOS), ラクチュロース (LAT), ガラクトシルスクロース (GS) およびイソマルトオリゴ糖 (IMO) を用いて難消化性オリゴ糖の性状の違いがCaならびにMg代謝に及ぼす影響を比較・検討した。飼料組成は各オリゴ糖10%添加飼料とし, 対照にはスクロースを用いた。Wistar系雄ラット (3週齢) を1群6匹で44日間個別飼育し, 6週間後に出納実験を行った。なお, 給餌量は同一になるように軽い制限給餌とした。CaおよびMgは原子吸光法により測定した。尿中デオキシピリジノリン (DPD) はEIA法を用いて測定した。消化されないFOSおよびLATは腸管からのCaならびにMg吸収を促進し, 大腿骨中のCaおよびMg含有量を増加させた。しかし, 部分消化性のGSの効果はやや弱く, 消化性のIMOの効果はさらに弱かった。消化されにくいオリゴ糖は尿中DPD排泄量も低下させた。以上の結果, 難消化性オリゴ糖のCaおよびMg代謝への影響は, オリゴ糖の種類, 特に消化性の低いものほどCaおよびMgの腸管からの吸収を促進することが明らかになった。
著者
遠藤 幸子 成瀬 真理生 近藤 博史 田村 淳
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.147-156, 2020-06-01 (Released:2020-09-16)
参考文献数
60

人工林は日本の森林の約40%を占めており,木材供給だけでなく生物にとっての適した生息場所として機能することが期待されている。しかしながら,人工林内の生物の多様性およびその生態について十分に理解されているとはいえない。本研究ではスギ・ヒノキ人工林で観察される鳥類種を明らかにし,その生態的特徴について考察した。調査は2014年から2018年の鳥類の繁殖期にあたる5月から6月にかけて神奈川県西部の3山域57地点において実施した。観察調査から8目26科45種がスギ・ヒノキ林を利用していることが明らかとなった。確認された種数およびその種組成は,スギ林とヒノキ林との間で有意な違いはみられなかった。確認された鳥類のうち留鳥10種と夏鳥2種を含む2目9科12種は,全ての山域で年を経ても繰り返し確認されており,これらはスギ・ヒノキ人工林を利用する確率の高い種であると示唆された。これら12種のうち11種は昆虫食であった。さらに,10種は樹上と樹洞に営巣する傾向があった。このように,人工林を利用する確率の高い種では,食性と営巣場所の選択において高い共通性がみられた。