著者
石塚 恭子 田中 健二郎 竹内 俊充 長澤 恒保 戸苅 彰史
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.81-88, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
75

Fracture risk increases substantially with age due to decreased bone density and muscle mass, and also problems with vision and balance. In the elderly, medication used to treat non-skeletal disorders is one of the causes of bone fracture accompanying decreased QOL. Increased fracture risk by medication is based on either adverse drug reactions on bone metabolism or adverse drug events such as falls. The use of fall risk-increasing drugs (FRIDs), such as opioids, dopaminergic agents, anxiolytics, antidepressants and hypnotics/sedatives, have been demonstrated to increase risk of fracture. Furthermore, in addition to FRIDs, many drugs have been found to affect bone mass and fracture risk as a result of the side effects on bone metabolism. The present article reviews the current understanding of several drugs influencing fracture risk. In particular, drugs affecting fracture risk through sympathetic neuronal activity are also discussed.
著者
戸苅 彰史 近藤 久貴 平居 貴生 兒玉 大介 新井 通次 後藤 滋巳
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.145, no.3, pp.140-145, 2015 (Released:2015-03-10)
参考文献数
45
被引用文献数
1 3

骨芽細胞および破骨細胞にアドレナリン受容体(AR)の発現が見出されて以来,骨代謝における交感神経系の生理的役割についての研究が著しく進展した.これら細胞へのARシグナルが神経由来であることも示されている.交感神経の骨代謝に及ぼす影響として,β2-ARによる骨吸収の促進および骨形成の抑制による骨量低下が認められている.一方,α1-ARによる骨形成の促進も見出されており,その促進機構を明らかにすると共に,骨芽細胞におけるβ2-ARとα1-ARシグナルの相互関連の解析が求められている.また,臨床的にβ-AR遮断薬が骨折リスクを低下させることが高血圧患者において認められているが,歯科矯正治療における歯の移動をβ-AR遮断薬およびβ-AR作動薬により調節できる可能性も動物実験で示されている.骨組織の局所におけるメカニカルストレスが交感神経活動を制御する機構を解析するため,交感神経と感覚神経との相互関連の解析も望まれる.
著者
今泉 祐治 大矢 進 山村 寿男 戸苅 彰史
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

脳神経等の興奮性細胞では、強い刺激と興奮により細胞にCa^<2+>負荷が生じた場合、自己防衛的にスパイク発生頻度を減じてCa^<2+>過負荷による細胞障害を回避するシステムが存在する。特にCa^<2+>活性化K^+チャネルはその活性化により、過分極を介して電位依存性Ca^<2+>チャネル活性を低下させるため、多くの興奮性細胞において最も基本的な[Ca^<2+>]_i負帰還調節機構を担う重要な分子と認識されている。本研究はCa^<2+>活性化K^+チャネルの分子制御機構の解明を基盤とした創薬研究を目的としている。研究期間内に以下の事柄を明らかにした。(1)脳血管内皮細胞に発現している小コンダクタンスCa^<2+>依存性K^+(SK)チャネルがアストロサイトなどから遊離されたATP刺激による内皮細胞増殖促進機構において、極めて重要な機能を果たしていることを発見し、創薬ターゲットとしての可能性を示した(JBC,2006)(J Pharmacol Sci,104,2007)。(2)型リアノジン受容体(RyR2)異型接合性欠損マウス膀胱平滑筋を用いて、[Ca^<2+>]_i負帰還調節機構へのRyR2と大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK)チャネルの寄与を明らかにし、尿貯留・排泄調節という膀胱機能発現において生理的に重要であることを示した(J Physiol,2007;J Pharmacol Sci,103,2007)。(3)電位感受性蛍光色素として創薬探索に汎用されているオキソノール化合物がβ1サブユニット選択的なBKチャネル開口作用を有することを発見し、BKチャネルβサブユニット選択性のある初めての化合物として創薬シーズの可能性を示した(Mol Pharmacol,2007)。(4)本態性高血圧症モデルラット(SHR)の大血管において細胞外液酸性の状態で収縮が著しく増強されることが知られていたが、高血圧の補償として発現促進されたBKチャネル機能更新と酸性時に活性が抑制される特有の機構が主な原因であることを見出した(Am J physiol,2007)。