著者
茅 陽一 手塚 哲央 森 俊介 辻 毅一郎 小宮山 宏 鈴木 胖
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

I.統合型エネルギーシステム(IES)1)システム構成の分析と効果の評価:3種の統合概念を提案した。第一は供給面での統合で供給の量・価格変動に対処し、第二は需要面の統合で需要の変動に容易に対応し、第三は規模の統合で同一システム内で異なる規模の設備を包括、両者の欠陥を補完する。これらの利点を数値的に示し、更にこの柔構造を有するシステムがCO_2削減にも効果的に対応出来ることを示した。2)CO_2の海洋循環と回集技術:地球温暖化対策の基礎として海洋での炭素循環を検討し有機炭素の役割の重要性を数値的に示した。また、産業から排出されるCO_2回収と海洋への廃棄の基礎的検討をした。3)高温核熱によるCO_2排出削減:IESの一つの方式は原子力の拡大利用で、高温核熱がエネルギー変換に有効に利用出来、結果的にCO_2削減に有効であると示した。4)規模の経済性の検討:電力システムを対象に検討し、設備建設コストの規模の経済性が認められる一方で、稼動率やシステムの周辺コストで規模のデメリットが認められることを示した。II.広義のロードマネージメントの研究1)分散型エネルギーシステム導入のポテンシアル:近畿地方を対象に、地域的需要分布を詳細に調査・モデル化し、太陽光及び燃料電池の導入のポテンシアルを検討し、かなり高い可能性があることを示した。2)民生部門におけるロードマネージメント:近畿地域対象の詳細民生需要モデルを作り、その調整可能性を検討した。電力のロードマネージメントの有効化にはガス冷房の普及が鍵となること等興味ある知見を数多く得た。3)コージェネレーションの民生利用評価:民生建築物を対象に運用モデルを作成、特に需要パターンがシステム選択に及ぼす影響を検討し、システム評価手法を提案した。4)産業用の共同火力運用プログラムの開発:産業での自家発電設備やコージェネレーションの運用に多大の示唆を与える知見が得られた。
著者
山本 倫也 大坂 融弘 小林 隆 石井 裕剛 手塚 哲央 吉川 榮和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.2914-2927, 2002-09-15
参考文献数
25
被引用文献数
1

教師と学習者が現実的,記号的,抽象的世界を共有することにより,分散型仮想環境(Distributed Virtual Environment; DVE)をコミュニケーションと思考の媒体として遠隔教育に応用できるように,ネットワーク上の情報資源を利用して分散型仮想環境を構築する仮想環境作成支援の新しいフレームワークを提案した.そして,並列離散事象シミュレーションのプロトコルを導入して,DVEシミュレーションの因果関係を制御する新しい方法を考案して,このフレームワークに基づく遠隔教育システムの基盤ソフトウェアMALIONETを開発した.MALIONETを利用して2種類の教材を実例として作成した結果,効果的な遠隔教育の場となる仮想環境の作成支援では,開発したMALIONETが十分に有効であることを確認した.A new framework for constructing distributed virtual environment (DVE) by utilizing online information resources has been proposed so that the DVEs can be utilized as a communication and thinking media for distant education, in which a teacher and students share the worlds of realism, abstract and symbol. Introduction of a new method to control causality of DVE simulation by adopting the protocol of parallel discrete event simulation has enabled to develop a base software MALIONET for the proposed DVE-based distant education system. Two example practices were conducted for constructing educational materials by using MALIONET, and they resulted in that the developed MALIONET has enough possibility to support construction of effective environment for distant education.