著者
小林 隆久
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学国際学部研究論集 (ISSN:13420364)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.115-123, 1998-06-30
被引用文献数
4 or 0

E.R.クルチウスによれば、「さかさまの世界」(mundus inversus)というトポスは、ヨーロッパにおいては古代より存在するという。(1)それは文学作品にかぎらず、もっと広く俗謡や絵画などの民衆芸術のなかにも、繰り返し現れている。古代から中世を経て近代に至るまで、幅広く出現したこの「あべこべの世界」 (the world upside-down,topsyturvy world)のイメージは、地理的に見ても、イギリス、フランス、オランダ、ドイツ、イタリア、ロシア、スカンジナヴイア半島など広範な社会に及んでいる。(2)興味あることには、江戸時代末期の戯作者、鶴屋南北の作品「東海道四谷怪談」や「盟三五大切」にもこの「あべこべの世界」が極めてグロテスクに描かれている。またこれは16世紀のドイツに登場したハンス・ザックスの謝肉祭劇にも見られるが、本論文では、主としてイギリスのエリザベス朝からジェイムス一世の時代にかけて活躍したシェイクスピアとベン・ジョンソンの戯曲を中心にこの問題を考えてみたい。
著者
小林 隆人 谷本 丈夫 北原 正彦
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-12, 2004-06-30
被引用文献数
1 or 0

オオムラサキ(鱗翅目,タテハチョウ科)の保護を目的とした森林管理手法の確立に必要な資料を得るため,面積の広い森林が連続的に分布する栃木県真岡市下篭谷地区と都市化が進んで面積が狭い森林がパッチ状に分布する伊勢崎地区において,森林群落のタイプとその面積,寄主植物であるエノキの本数,エノキの根元で越冬する本種の幼虫の個体数,夏季における成虫の目撃個体数を調査した.両地区とも,アカマツ-クリ・コナラ林およびクヌギ,コナラ,針葉樹,タケの人工林などがパッチ状に分布し,アカマツ-クリ・コナラ林の面積率が最も高かった.本種の寄主植物であるエノキの母樹(樹高2m以上)は,森林地帯,農家の屋敷地,荒地に小集団で存在した.母樹の本数は両地区ともアカマツ-クリ・コナラ林で最も多く,他の森林群落および土地利用では少なかった.地区別の本数は下篭谷地区と比べて,伊勢崎では顕著に多かった.当年,1年生など発芽して間もないエノキの椎樹は,森林の部分的な伐採から1年ほど経た比較的新しい林縁部に見られた.下篭谷では,胸高直径が15cm以上25cm未満のエノキにおける本種の越冬幼虫の個体数が,他のサイズのエノキよりも有意に多くなったが,伊勢崎では幼虫個体数はエノキのサイズの間で有意に異ならなかった.一方,木の周囲の森林および落葉広葉樹二次林の面積と越冬幼虫の個体数との間には,両地区とも有意な正の相関が認められた.成虫の確認個体数は下篭谷地区で多く,成虫の多くはクヌギ林およびその付近で確認された.以上の結果から,落葉広葉樹二次林に対して土地利用の変換を伴う部分的な伐採を行うことは,エノキの密度を増加させる反面,本種の越冬幼虫や成虫の密度を減少させることが示唆された.このような両者の相反する生息条件を満たすには,クヌギ林とエノキが備わったある広さの落葉広葉樹二次林を伐期が異なる小班に区分することが必要である.
著者
小林 隆志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.86-94, 2009

鳥取県立図書館は,ここ数年,利用者サービスの点で大きく変革している。その変革が意図しているのは,「もっと県民に図書館の基本的な機能を理解して欲しい」,「図書館を,地域や個人の課題解決に資する情報提供が可能な頼りになる機関として認識して欲しい」という2点である。この目標にたどり着くために行ったSWOT分析による現状分析の結果と,それに基づく事業内容について,(1)図書館の機能を県民・行政職員に知らせているか(強みを生かしているか),(2)チャンスだからこそ,今やっておかなければならないことはないか(機会),(3)弱みをカバーする方法はないのか,(4)脅威は本当に脅威か,の4つの視点から紹介した。また,より具体的な事例として,文部科学省の「地域の図書館サービス充実支援事業」を受託して実施した「図書館で夢を実現しました大賞」について報告する。
著者
吉村 貴克 徳田 恵一 益子 貴史 小林 隆夫 北村 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.8, pp.1565-1571, 2004-08-01
被引用文献数
4 or 0

本論文は,HMMに基づいた音声合成システムに混合励振源モデルを導入することにより,合成音声の品質向上を図ることを目的とする.我々はこれまでに,メルケプストラム,基本周波数,継続長をHMMの枠組みでモデル化し,HMMからこれらの音声パラメータを出力することによって音声を合成するテキスト音声合成システムを提案した.このシステムでは,合成フィルタ(MLSAフィルタ)を励振する際の励振源モデルとして,有声区間,無声区間でそれぞれパルス列と白色雑音を切り換える単純なモデルを用いている.このような励振源を用いる場合,有声摩擦音のように周期成分と非周期成分をともにもつ音声を合成することができず,合成音声の品質を劣化させる原因となる.そこで本論文では,パルス列と白色雑音を混合する混合励振源モデルを用いることにより高品質な音声を実現している狭帯域音声符号化手法MELPの混合励振源モデルを導入する.この混合励振源モデルは,狭帯域音声符号化だけでなく,広帯域音声符号化へも応用されていることから,音声合成においても有効性が期待される.更に,多くの音声符号化手法で用いられているポストフィルタを導入し,合成音声の品質を向上を図る.また主観評価実験により,本システムにおける混合励振源モデルとポストフィルタの有効性を示す.
著者
小林 隆志 林 晋平
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.3_13-3_23, 2010-07-27 (Released:2010-09-27)

本論文では,多量のソフトウェア関連データを用いたソフトウェアの構築・保守支援手法及びそのために必要なデータマイニング技術の動向を,既存の研究を概観しつつ紹介する.
著者
能勢 隆 山岸 順一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.572, pp.61-66, 2006-01-20
参考文献数
8

本論文では, 隠れマルコフモデル(HMM)に基づく音声合成システムにおいて, 複数の発話様式または感情表現の表出や強調の度合を制御することを目的に, 重回帰モデルを用いた音声のスタイル制御法を提案する. 従来の重回帰HMMを用いた手法では, 音声の重要な特徴の一つである音韻継続長を担う明示的なパラメータが存在しないため, 各発話様式・感情表現を個別にモデル化した場合に比べ, 再現性が低下するという問題があった. そこで提案法では, HMMに状態継続長分布を組み込んだ隠れマルコフモデル(HSMM)を用いることで音韻継続長を明示的な制御の対象としている. 主観評価試験により, 提案法は各発話様式・感情表現の再現性だけでなく, これらの表出・強調度合の制御においても, 従来の重回帰HMMを用いた手法より優れていることを示す. また, 発話様式・感情表現の制御法の一つである補間手法との比較や, 重回帰HSMMで用いるスタイル空間の違いが合成音声に与える影響についても検討を行っている.
著者
山本 雅基 小林 隆志 宮地 充子 奥野 拓 粂野 文洋 櫻井 浩子 海上 智昭 春名 修介 井上 克郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_213-1_219, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

本論文では,協働教育の教育効果を測定するための新しい手法について提案して,実証評価する.分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワークenPiTでは,全国の大学院生に対して,情報技術の実践力を高める教育を実施している.実践力の育成を目的とする教育協働における教育効果の測定には,2つの課題が挙げられる.第一に,実践力は専門知識の定着を問うテストでは測定困難である.第二に,履修カリキュラムが異なる受講生を共通の指標で評価することも困難である.本論文では,学習経験を問う質問紙と行動特性を計測するテストを併用することにより,履修カリキュラムが異なる受講生の実践力を統一の基準で評価する手法を提案し,enPiTで実証評価した.
著者
嵯峨山 茂樹 川本 真一 下平 博 新田 恒雄 西本 卓也 中村 哲 伊藤 克亘 森島 繁生 四倉 達夫 甲斐 充彦 李晃伸 山下 洋一 小林 隆夫 徳田 恵一 広瀬 啓吉 峯松 信明 山田 篤 伝 康晴 宇津呂 武仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.14, pp.57-64, 2003-02-07
参考文献数
24
被引用文献数
42 or 0

筆者らが開発した擬人化音声対話エージェントのツールキット``Galatea''についてその概要を述べる。主要な機能は音声認識、音声合成、顔画像合成であり、これらの機能を統合して、対話制御の下で動作させるものである。研究のプラットフォームとして利用されることを想定してカスタマイズ可能性を重視した結果、顔画像が容易に交換可能で、音声合成が話者適応可能で、対話制御の記述変更が容易で、更にこれらの機能モジュール自体を別のモジュールに差し替えることが容易であり、かつ処理ハードウェアの個数に柔軟に対処できるなどの特徴を持つシステムとなった。この成果はソース公開し、一般に無償使用許諾する予定である。This paper describes the outline of "Galatea," a software toolkit of anthropomorphic spoken dialog agent developed by the authors. Major functions such as speech recognition, speech synthesis and face animation generation are integrated and controlled under a dialog control. To emphasize customizability as the dialog research platform, this system features easily replaceable face, speaker-adaptive speech synthesis, easily modification of dialog control script, exchangeable function modules, and multi-processor capability. This toolkit is to be released shortly to prospective users with an open-source and license-free policy.
著者
小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.261, pp.33-40, 1998-09-10
被引用文献数
4 or 0

音声分析の代表的な手法の一つであるケプストラム分析法について概説する.まず, オリジナルのケプストラム法について, ケプストラムや複素ケプストラムの定義とその性質, 準同形逆たたみ込みの概念を簡単に述べた後, 実際の音声分析への適用例を示す.次に, スペクトル推定の観点から, より良い対数スペクトルの推定値を求めるための手法として, 対数スペクトルの不偏推定と一般化ケプストラムモデルに基づいた音声分析法を述べる.さらに, 聴覚周波数スケールを導入した指数形モデルに基づくメルケプストラム分析について述べる.また, 他のスペクトル分析パラメータとケプストラムとの関係やケプストラムパラメータへの変換式, 各手法による音声スペクトルの推定例もあわせて紹介する.
著者
林 利充 大澤 義明 小林 隆史
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.5-11, 2009-01-01
被引用文献数
1 or 0

日本は世界で最も多い30万種類の苗字を持つ国である.苗字は地域の歴史・風土の影響を受けているため,その世帯数には地域差が存在し地域性の一指標となりうる.本稿では,2005年電話帳データに基づいて,苗字の空間的偏在を把握し,その偏在と人口流動との関係性について報告する.なお,その地域の苗字構成比率と全国の苗字構成比率との比較を用いて偏在性を示し,人口移動データと地利値の概念を用いて人口流動を表した.
著者
徳田 恵一 益子 貴史 小林 隆夫 今井 聖
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.192-200, 1997-03-01
被引用文献数
104 or 0

動的特徴 (音声のデルタ及びデルタデルタパラメータを含む混合連続分布HMMから音声パラメータ列を生成するための高速アルゴリズムを提案する。ここでは, 尤度最大の意味で最適な音声パラメータ列を生成することを考え, この問題を現実的な演算量で解くため, 適応フィルタリングにおけるRLSアルゴリズムと類似の手法を用いて高速アルゴリズムを導出した。また, 提案アルゴリズムにより, 静的及び動的特徴の統計情報(平均及び共分散)を反映した音声パラメータ列の生成が可能となることを例によって示すと共に, 提案アルゴリズムの音声の規則合成への応用について考察を加えている。
著者
小林 隆志 村木 太一 直井 聡 横田 治夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.715-726, 2005-03-01
被引用文献数
9 or 0

我々はこれまでに, 講義や研究発表などで使用されるプレゼンテーションの資料と動画をメタデータによって統合し蓄積する手法と, その統合されたデータの特性にあった適合度指標を利用した検索手法であるUPRISE (Unified Presentation Slide Retrieval by Impression Search Engine)を提案してきた.本論文では, UPRISEを適用した蓄積検索システムを実現するために, 多様なコンテンツを格納し検索できるメタデータ定義とその抽出方法を議論し, UPRISEを用いた統合コンテンツの蓄積検索の実現方法に関して議論する.また実際に蓄積検索システムのプロトタイプを作成することでその有効性を確かめる.
著者
唐木 將行 小林 隆一 小林 英治 石井 玄吾 森 望
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.154-159, 2006-07-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
12

Bronchial asthma has been reported to greatly influence the outcome of endoscopic sinus surgery (ESS) in patients with chronic sinusitis. We studied 191 patients undergoing ESS from January 2000 to December 2004, focusing on postoperative improvement in olfactory disorders, recurrence, and incidence of reoperation in 143 patients with follow-up exceeding 6 months. Airway hypersensitivity was observed in 35% of patients undergoing ESS, compared to 75% of asthmatic patients and 81% of those with both asthma and allergic rhinitis who had preoperative olfactory disorders. Olfactory disorders improved in 82% of patients undergoing ESS. Over 50% of relapsed patients had airway hypersensitivity. Asthmatic patients had an especially high relapse 37% (10 of 27 patients) . The outcome of ESS was significantly worse in patients with asthma. We conclude that patients with chronic sinusitis and asthma, who tend to experience more recurrence, require regular examination and early treatment.