著者
折野 宏一 山本 晋二 渡辺 清隆
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.785-787, 1993-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
12
被引用文献数
21 22

酵素免疫測定法により測定したウマ血漿および血清フェリチン濃度は血漿の方が血清より低かった. しかしながら, 血漿と血清を75℃で15分間加熱処理することにより, 両者のフェリチン濃度は同レベルに上昇した. これらの結果はウマ血漿にはフェリチンの免疫測定を阻害する特有のフェリチン結合タンパク質が存在することを示唆する. ウマ血清フェリチン濃度は血清へのウマフィブリノーゲン添加により減少した. フィブリノーゲンはウマ脾臓フェリチンの免疫測定をも阻害し, またこれと結合した. これらの結果から, ウマフィブリノーゲンはフェリチンの免疫測定を阻害するフェリチン結合タンパク質の一つであると結論された.
著者
近澤 征史朗 小林 秀樹 堀 泰智 星 史雄 金井 一享 伊藤 直之 佐藤 淳 山本 祥大 立花 麻子 春原 瑠美 打出 毅 折野 宏一 渡辺 清隆 樋口 誠一
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.71-77, 2010-09-20 (Released:2011-12-16)
参考文献数
28

犬の多中心型リンパ腫(Multicentric Lymphoma: ML)における血清フェリチン濃度を指標とした病態モニタリングの有用性を評価した。ELISA (enzyme-linked immunosorbent assay)法を用いて測定したMLの診断時血清フェリチン濃度は健常犬と比較して有意に高値を示し(平均値±標準偏差:1448±546および373±122 ng/ml,p<0.0001),化学療法の経過に伴って大きく変動した。また,完全寛解時の血清フェリチン濃度は健常犬と同等レベルまで低下し,再燃時には再び上昇する傾向を認めた。血清フェリチン濃度は他の悪性腫瘍,炎症など様々な疾患で高値を示すためMLの初期診断には適さないものの,MLの再燃予測あるいは抗がん剤治療中の病態モニタリングに有用な指標になり得る可能性が示唆された。