著者
木村 祐哉 金井 一享 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 伊藤 直之
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.35-38, 2015-03-20 (Released:2016-03-24)
参考文献数
4

動物病院利用者における医療用語の普及の程度については,これまで明らかにされていない。本報告は,3軒の動物病院で利用者に質問紙への協力を求めたものである。参加者には25項目の用語について聞いたことがあるか,聞いたことがあるならばさらに正しく理解をしていたのかを訊ね,回答は理解度と誤解度として頻度および95%信頼区間で示した。男性22名,女性78名,その他の性自認2名(無回答8名)の計110名の協力が得られ,年齢構成は20代以下が9名,30-50代が76名,60代以上が18名(無回答7名)であった。重複含め飼育されていた動物は犬が73頭,猫32頭,その他9頭であった。理解度は2.0-99.0%,誤解度は0.0-32.4%であり,医療用語の使用に対する配慮の必要性を支持する結果となった。
著者
木村 祐哉 金井 一享 伊藤 直之 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 川畑 秀伸 前沢 政次
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-65, 2016-07-20 (Released:2017-01-24)
参考文献数
17

ペット喪失に伴う深刻な心身の症状が2カ月を超えて持続する場合には,医師による対応が必要である可能性が高いと考えられる。東京および愛知の動物火葬施設で利用者に対して精神健康調査票(GHQ28)による追跡調査を実施したところ,死別直後で22/37名(59.5%),2カ月後で17/30名(56.7%),4カ月後で11/27名(40.7%)の遺族がリスク群と判定された。また,心身の症状に影響のある要因として,遺族の年齢,動物との関わり方,家族機能が挙げられた。ペット喪失後の問題を減らすためには,こうした要因をもつ飼育者に獣医療従事者が事前に気づき,予防的な対応をとることが重要と考えられる。
著者
木村 祐哉 金井 一享 伊藤 直之 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 川畑 秀伸 前沢 政次
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-65, 2016

<p>ペット喪失に伴う深刻な心身の症状が2カ月を超えて持続する場合には,医師による対応が必要である可能性が高いと考えられる。東京および愛知の動物火葬施設で利用者に対して精神健康調査票(GHQ28)による追跡調査を実施したところ,死別直後で22/37名(59.5%),2カ月後で17/30名(56.7%),4カ月後で11/27名(40.7%)の遺族がリスク群と判定された。また,心身の症状に影響のある要因として,遺族の年齢,動物との関わり方,家族機能が挙げられた。ペット喪失後の問題を減らすためには,こうした要因をもつ飼育者に獣医療従事者が事前に気づき,予防的な対応をとることが重要と考えられる。</p>
著者
星 史雄
出版者
北里大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ネコ組織からAGPC法を用いてTotal-RNAを抽出し、Oligo-dTラテックスビーズ法を用いてmRNAを精製した後、ネコKlf4、Oct3/4、Sox2、およびAQP2遺伝子クローニングに成功した。ネコKlf4、Oct3/4、およびSox2は、pCl-neo Mammalian Vectorに挿入され、ネコ皮膚の初代線維芽細胞に導入を試みたが、iPS細胞の作出はできなかった。ネコAQP2は、pTrancer-EF-Bsdに挿入し、CrFK細胞と293細胞に導入したところ少数ではあるが、高発現GFP細胞が分離でき、有意に水分吸収量の増加がみられた。
著者
近澤 征史朗 岩井 聡美 畑井 仁 星 史雄 金井 一享
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.255-259, 2018-05-20 (Released:2018-06-20)
参考文献数
10

間欠的かつ重度の下部消化管出血を呈した7歳齢,雌のミニチュア・ダックスフンドは下部消化管内視鏡検査において大腸全域に及ぶ粘膜表面の毛細血管の拡張・蛇行・集簇が観察された.それら特徴的な血管異常から大腸血管拡張症が強く疑われ,外科治療として病変部を含む直腸の一部を温存した大腸亜全摘出術が実施された.術後の出血便の頻度は激減し,合併症と考えられた便失禁や頻回の軟便の排泄は経過を追うごとに鎮静化した.本症例は術後688日が経過した時点において輸血を行うことなく安定した自宅管理が継続されている.摘出した大腸の病理組織学的検索では,粘膜及び粘膜下組織における広範な血管拡張が観察されたことから,本症例は本邦初となる犬の大腸血管拡張症の罹患例であると考えられた.
著者
伊藤 直之 伊藤 洋一 村岡 登 増田 健一 金井 一享 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 樋口 誠一
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-21, 2014 (Released:2014-04-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬139頭について,リンパ球増殖反応と定量的血清IgEレベルを検査した。検査した犬の103頭(74.1%)と73頭(52.5%)が,それぞれリンパ球増殖テストおよび血清IgEテストで,一つ以上の食物アレルゲンに対して陽性だった。多くの症例で複数の食物アレルゲンに反応し,しかも,反応しているアレルゲンは,リンパ球増殖テストと血清IgEテストで必ずしも同一ではなかった。これらの成績から,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬では,食物アレルゲンに感作されている割合が予想以上に高いことが示された。また,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬の中に、多くの食物アレルギーの症例が含まれている可能性が示唆された。犬の食物アレルギーの診断および治療には,除去食・暴露試験が必要とされることから,アレルゲン特異的なリンパ球増殖テストと血清IgEテストを同時に実施することは,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬において,除去食および暴露試験における食物アレルゲンの選択に有用であると考えられる。
著者
伊藤 直之 村岡 登 金井 一享 中尾 るり子 堀 泰智 星 史雄 樋口 誠一
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 = Journal of Animal Clinical Research Foundation (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.19-23, 2008-03-20

一般家庭で飼育されている犬190頭および猫89頭から糞便を採取し,市販のELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)キットを用いてクリプトスポリジウム抗原を検出した。クリプトスポリジウム抗原は,犬では6.3%(12/190),猫では10.1%(9/89)の糞便から検出された。犬ではクリプトスポリジウム抗原の検出率は,糞便性状や年齢,性別,由来,生活環境のようなプロフィールと関連が認められなかった。同様に,猫においてもクリプトスポリジウム抗原検出とプロフィールとの間には,関連性が認められなかった。これらの成績から,一般家庭で飼育されている犬および猫において,クリプトスポリジウムの感染は,低率ではあるものの広く蔓延している可能性が示唆された。
著者
近澤 征史朗 小林 秀樹 堀 泰智 星 史雄 金井 一享 伊藤 直之 佐藤 淳 山本 祥大 立花 麻子 春原 瑠美 打出 毅 折野 宏一 渡辺 清隆 樋口 誠一
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.71-77, 2010-09-20 (Released:2011-12-16)
参考文献数
28

犬の多中心型リンパ腫(Multicentric Lymphoma: ML)における血清フェリチン濃度を指標とした病態モニタリングの有用性を評価した。ELISA (enzyme-linked immunosorbent assay)法を用いて測定したMLの診断時血清フェリチン濃度は健常犬と比較して有意に高値を示し(平均値±標準偏差:1448±546および373±122 ng/ml,p<0.0001),化学療法の経過に伴って大きく変動した。また,完全寛解時の血清フェリチン濃度は健常犬と同等レベルまで低下し,再燃時には再び上昇する傾向を認めた。血清フェリチン濃度は他の悪性腫瘍,炎症など様々な疾患で高値を示すためMLの初期診断には適さないものの,MLの再燃予測あるいは抗がん剤治療中の病態モニタリングに有用な指標になり得る可能性が示唆された。
著者
伊藤 直之 村岡 登 金井 一享 中尾 るり子 堀 泰智 星 史雄 樋口 誠一
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.19-23, 2008-03-20 (Released:2009-04-03)
参考文献数
29

一般家庭で飼育されている犬190頭および猫89頭から糞便を採取し,市販のELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)キットを用いてクリプトスポリジウム抗原を検出した。クリプトスポリジウム抗原は,犬では6.3%(12/190),猫では10.1%(9/89)の糞便から検出された。犬ではクリプトスポリジウム抗原の検出率は,糞便性状や年齢,性別,由来,生活環境のようなプロフィールと関連が認められなかった。同様に,猫においてもクリプトスポリジウム抗原検出とプロフィールとの間には,関連性が認められなかった。これらの成績から,一般家庭で飼育されている犬および猫において,クリプトスポリジウムの感染は,低率ではあるものの広く蔓延している可能性が示唆された。