著者
田崎 明 巨瀬 勝美 拝師 智之
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.14, pp.59-63, 1999-11-01

筑波大学・物理工学系・巨瀬^^<こせ>研究室で研究開発されたMRI(磁気共鳴影像法)の計測技術を基に、大学院生の拝師^^<はいし>がベンチャー会社であるエム・アール・テクノロジーを起こした。これは筑波地区におけるTLOのモデル・ケースとして実験的に進めてきたものである。技術移転を世話した筑波リエゾン研究所は、この実験の途中でTLOとしての承認を得ている。今回の報告は技術移転に携わった3名の連名であるが、田崎が全体の意見をまとめて"ベンチャー作り実験"の経過報告を行う。特に、技術移転によってベンチャー企業を起こす際の参考になると思われる事項や、当事者達の気持ちを記録して、今後の参考として残すことにした。報告は基礎となった技術(内容は場違いではあるが、実験モデルの設定としては避けて通れない)、研究から企業化を考える過程、具体化に際しての問題、今後の課題など項目に分けて報告する。
著者
拝師 智之 小泉 博 新井 朋徳 小泉 美香 狩野 広美
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.249-257, 2009 (Released:2017-04-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

0.2テスラ(T)小型MRI装置を用いて収穫果実におけるモモシンクイガ(Carposina sasakii Matsumura)幼虫の食入害を非破壊的に観測した。安定性が高い三次元スピンエコー法(分解能(470μm)3)によって食害孔、虫糞とともに成長した幼虫を検出することができた。本測定法では輪郭が明瞭な画像が得られたが、撮像時間は一果実につき82分を要し、果実に食入した幼虫の行動観測のためには撮像できる試料数の制限が問題となる。食害孔および蓄積された虫糞は、輪郭の鮮明度が若干劣るが、三次元グラディエントエコー法(分解能(860μm)3)によって27分で検出された。グラディエントエコー法による食害孔の拡大の追跡は、果実における幼虫の活動を追尾する指標となると同時に、試料の数に関する問題を解決できる。画素サイズに対して幼虫は小さいので、幼虫自体の検出には画素サイズが小さい画像を長時間かけて撮像することとともに、画像回転などの画像処理技術が必要であるが、0.2T小型MRIは果実における蛾の幼虫の生態学において、ユニークで新しい視点を切り拓く研究手法となると考えられる