著者
持田 信樹
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.141-165, 2015 (Released:2021-10-26)
参考文献数
24

わが国の地方政府債務は先進諸国の中で最悪の状況にある。本稿では,Bohn(1998)のモデルを拡張して地方政府債務の持続可能性を検証した。分析対象は47都道府県で期間は1985年から2011年までの27年間である。政府債務の対県民総生産比が増大すると当初は基礎的財政収支が悪化するが,ある点を超えると改善に向かうという非線形の関係が確認された。基礎的財政収支改善の「主役」を演じたのは投資的経費の削減と地方税の回復であり,「準主役」は人件費の抑制である。地方公共団体が基礎的財政収支を改善する「トリガー」となったのは公債費負担比率の上昇であった。予想に反して地方財政健全化法の実施をきっかけに政府債務残高なり財政指標なりの説明力は失われた。
著者
永井 史男 秋月 謙吾 持田 信樹 岡本 正明 西村 謙一 籠谷 和弘 小林 盾 菊地 端夫 砂原 庸介 安部 鶴代(船津鶴代)
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

タイ、フィリピン、インドネシアの 3 カ国で、地方自治体の政策の優先順位、予算配分等がどのように決まるのか、質問票を使って社会調査を実施した。抽出した基礎自治体数は、フィリピン 300 カ所、インドネシア 112 か所、タイ 1500 カ所で、回収率はそれぞれ 100%、93%、25%であった。平成 25 年 1 月初めにはこれらの調査結果をもとに、明治大学駿河台キャンパスで国際シンポジウムを開催し、英文報告集を取りまとめた