著者
加藤 元嗣 上堂 文也 掃本 誠治 家子 正裕 樋口 和秀 村上 和成 藤本 一眞
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1547-1558, 2017 (Released:2017-07-20)
参考文献数
39
被引用文献数
10

日本消化器内視鏡学会は,抗血栓薬の休薬による血栓塞栓症の誘発に配慮した“抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン”を報告した.その後新しい経口抗凝固薬が用いられるようになり,実臨床ではそれらの対応についての基準が求められていた.そこで,抗凝固薬の新たな知見を加えて,抗凝固薬に関する追補版を作成した.しかし,各ステートメントに関してはエビデンスレベルは不十分なものが多く,今後は臨床現場での追補ガイドラインの検証が必要となる.
著者
坂本 憲治 掃本 誠治 橋本 洋一郎 榛沢 和彦 辻田 賢一
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.648-654, 2022 (Released:2022-12-22)
参考文献数
13

2016年4月,2度の地震(震度7)が熊本地方を襲った.本震から2日後,車中泊の51歳女性が急性肺塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)により死亡し,我々は避難所巡回での深部静脈血栓症スクリーニング検診を開始した.車中泊者を中心に要入院重症VTE患者が多数発生する中,のべ136会場で4,135名に下肢静脈エコー検診を行なった.急性期検診(発災後45日間)のDVT陽性率は9.5%.予後調査で健診による3名の要入院者を同定できたが,死亡例はなかった.慢性期検診の検討では,DVT陽性率の検診時期毎の低下傾向を認めなかったが,高齢者を除くと経時的な陽性率低下が確認できた.急性期に同定されたDVTの慢性期推移を検討した結果,56%に消失が確認できた.血栓消失群における消失時期について検討したところ,49%は2ヶ月以内,87%は6ヶ月以内の追跡で血栓の消失が確認できており,発災直後からの予防啓発活動の重要性が示唆された.