- 著者
-
谷 謙二
斎藤 敦
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
- 巻号頁・発行日
- vol.92, no.1, pp.1-22, 2019-01-01 (Released:2022-09-28)
- 参考文献数
- 39
- 被引用文献数
-
7
2018年3月に公示され,2022年から実施される新高等学校学習指導要領では,「目標」と「内容」に地理情報システム(GIS)の利用を掲げた新科目「地理総合」が必履修科目とされた.本研究では全国の高等学校に対してアンケート調査を行ってGIS利用の現状と課題を明らかにし,「地理総合」の実施に向けて必要な対応を検討した.調査の結果,高校でのGIS利用率は23.9%であった.GISを利用している教員は,地理を専門とし,大学でGISを実習形式で学ぶか,GIS研修を経験し,情報機器の整備された学校に勤務する傾向がみられた.GIS利用者は無償のGISソフトやサービスを利用し,WebGISへの期待が大きい.GIS利用の課題として情報機器の整備が第一に挙げられ,普通教室での投影機器とインターネット接続の普及が急務である.その上でGISを利用できる教員を研修等により増やす必要がある.GIS研修に際しては,教員の意欲や技術を考慮し,WebGISの閲覧・操作を中心とした簡便な内容が求められる.