著者
黒田 章裕 勝俣 栄作 山﨑 寛久 山 峻輝 木山 修一 前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.466-472, 2017-10-10 (Released:2017-10-13)
参考文献数
19

赤ちゃんの皮膚は透明感があり,みずみずしく奥行きを感じる.ヒトの皮膚は半透明,多層状の構造を有しているが,屈折率が大きく変化する部位は限られているため,半透明の多層スクリーンでその光学特性を近似できる.我々は,光学近似モデルの光学特性を評価していく中で,長波長側の可視光成分が多重反射し,比較的長い距離を伝搬していく現象を観察した.長波長可視光成分には,赤色,黄色といった皮膚の色や見た目の印象を決定するための重要な光成分が含まれており,これが実際の皮膚でも生じているのか否かを確認することは,皮膚のような半透明体を光学的,画像的に解釈するための基礎理論を構築することにつながるため重要である.そこで,ヒトの前腕内側部を用いて,異なる色のレーザー光を照射した時の皮膚内の光到達距離を高感度センサーを用いて調べてみたところ,長波長側の光が短波長側と比べてより長い距離を伝搬していること,赤色レーザーの場合で,その伝搬距離は54mmに達することを見いだした.この結果は,先の光学近似モデルの結果と良い一致を見た.
著者
神楽岡 澄 大森 正子 高尾 良子 山田 万里 室井 雅子 長嶺 路子 深澤 啓治 永井 恵 和田 雅子 星野 斉之 吉山 崇 前田 秀雄 石川 信克
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.611-620, 2008-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
27
被引用文献数
1

〔目的〕結核対策事業の展開を軸にDOTS事業成績を評価し,都市結核対策のあり方を検討する。〔方法〕ハイリスク者結核検診の受診率と患者発見率の推移を検証した。DOTS拡大の前後で,治療成績を比較するとともに,再治療率と薬剤耐性率の推移を検討した。〔結果〕新宿区の結核罹患率(2006年)は人口10万対425までに低下したが,全国の罹患率と比較すると依然2倍以上の高さである。日本語学校検診およびホームレス検診からの患者発見率はともに有意に低下していた。治療成績のうち脱落率は,DOTS実施前には17.9%(1998~99年)と高かったが,65%(2002~04年)に減少した。再治療率は2000~06年にかけて23.0%から7.8%へ,年平均17.2%の減少(p<0.001)を示した。多剤耐性率は2000~02年から2003~06年にかけて1.6%から0.2%(p=0.042)へ,その他の耐性率は12.0%から9.7%(p=0.298)へ低下した。〔考察〕ハイリスク者結核検診による患者の早期発見・早期治療に加えて,地域の関係者と連携を図りながらライフスタイルに合った様々な服薬の支援方法を開発し,患者自身が選択できるDOTS方式を推進した。その結果,脱落率,再発率の低下につながったと考えられる。耐性率の低下の要因については,感染ルートの検証も含めてさらに検討する必要があろう。
著者
吉田 謙一 花尻 瑠理 川原 玄理 林 由起子 前田 秀将
出版者
東京医科大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

ラットに腹腔内に合成カンナビノイド(sCB)の一種AB-CHMICAを投与し代謝物変化を調べた結果、ヒト急死例における迅速な代謝と臓器移行の知見は確認できなかった。ゼブラフィッシュ(Zf)用行動解析装置で同時・多数・経時的に、薬物投与後の行動を記録・解析し、死亡率を推定できる実験系を確立した。当初、この装置を利用して、sCBによる急死の機序を解明する予定であったが、法規制のため入手困難となった。そこで、 大麻(CB)成分の一つカンナビジオール(CBD)をZfに投与した後、光刺激のある“明期”、ない“暗期”を交互に反復した「ストレス負荷」の後、薬物を除去し、投与24時間の「離脱後」に同じ明暗刺激に暴露した。活動量は、投与後、濃度依存的に減少、離脱後、高濃度で活動量が増加した。明暗刺激が進むにつれ活動量が減少する「馴化」は、CBD低濃度で、投与後・離脱後に増加し、高濃度では馴化はせず、活動量が低下した。離脱後には、高濃度ほど馴化が低下し、高活動量状態を維持したZf用行動解析装置を用いてsCBによる急死の機序を解明する予定であったが、sCBを使えなくなったので、代替薬を探した。カフェインは、大量摂取すると突然死することがあるが、機序は不明である。そこで、Zfにカフェインを投与すると、容量依存性に徐脈と死を誘発したが、処置4時間後にカフェインを除去すれば、24時間後の生存率は改善された。Zfの致死性徐脈に対するカフェイン濃度は、死亡症例の血中濃度の2~5倍程度で、本実験系が、未知の物質の致死濃度の予測に有効であることが示された。5回連続、各々15分の明暗刺激に幼魚を暴露し、水泳距離分析により、暗転時の行動増加と明転時の行動減少、各々における下向き、上向きのピークが、不安行動を反映している可能性を明らかにした。本実験系が、未知の物質の不安や学習行動の評価に有用であることが示された。
著者
高見 知寛 鈴木 功一 馬場 達也 前田 秀介 松本 隆明 西垣 正勝
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.26(2006-CSEC-032), pp.209-214, 2006-03-17

本稿ではキーボード入力を取得するというキーロガーの挙動に着目し,キーボード入力に用いられるAPIの使用を検出することでキーロガーの検知を行う方式を提案する.本来のDLLの代わりにAPIの使用を検出する機能を付加した検査用DLLをプログラムにロードさせた上で試実行させることが本方式の特徴であり,ウイルス検知における動的ヒューリスティック法的なアプローチによるキーロガー検知方式となっている.本稿では本方式の基礎実験を行い,その検知率と誤検知率について評価する.
著者
松峯 敬夫 広田 英夫 前田 秀一 福島 亮治 青木 幹雄 瀬戸 輝一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1369-1371, 1986-09-20

化生のtype 前述したように,胆嚢にみられる化生組織は,おおむね,粘液腺化生(偽幽門腺化生,偽Brunner腺化生)と腸上皮化生の2種のtypeに大別される.いずれも胆道全般に共通した再生変異であり,胆管においてもしばしば同様の変化が見出されている1〜4). 化生の進展とともに,胆管粘膜は次第にその形態を変え,両化生組織の単一,あるいは複合分布により,胃の幽門洞部や十二指腸粘膜に似たさまざまな過形成巣を生じていくが,このような変化はまた,胆嚢にみられる化生巣の性状ともよく一致している.
著者
松峯 敬夫 広田 英夫 前田 秀一 福留 厚 青木 幹雄 瀬戸 輝一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1109-1111, 1986-07-20

腺扁平上皮癌と扁平上皮癌 同一癌巣内に,腺癌と扁平上皮癌の像を併存する癌は,一般に,腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)と呼ばれている. 比較的稀なtypeであり,胃や腸にみられる機会はごく少ないが,胆道では,はるかに高率に発生するといわれ1),胆嚢癌における筆者らの検索でも,31例中7例,22.6%に腺扁平上皮癌が見出されている(表).このような癌巣中に占める腺癌と扁平上皮癌の比率はさまざまであり,時として,100%近く扁平上皮癌成分により占められることもあるが,純型の扁平上皮癌(squamous cell car—cinoma)とみなし得るものは極めて稀である.
著者
杉下 由行 前田 秀雄 森 亨
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1045-1049, 2005 (Released:2014-08-06)
参考文献数
7

目的 日本では,管針を用いた経皮接種により BCG 接種が行われている。本調査の目的は BCG 接種による針痕数が接種医によって異なるか否かを検証することである。対象と方法 東京都葛飾区の 3 歳児健診に来所した218人に調査を行った。対象者全員が葛飾区の保健所で生後 4 か月時に管針法による BCG 接種を受けている。管針法では最大18個の針痕を確認する事ができる。BCG 接種による針痕数の調査を行い,接種医別にその個数をまとめた。結果 平均針痕数は9.23個(SD6.11)であった。同じ管針法で行われた特別区22区の平均針痕数(12.18±5.64)より有意に低く(P<0.01),22区の中で 3 番目に低い結果であった。平成12年結核緊急実態調査での全国の針痕数の調査結果と比較しても,葛飾区の平均針痕数は有意に低かった(P<0.05)。葛飾区では 7 人の接種医の間で平均針痕数は明らかな違いを認めた。良好な接種医上位 2 人の平均針痕数はそれぞれ15.26個(SD3.62)と14.59個(SD3.58)で 7 人の接種医の平均針痕数より有意に高く(P<0.01),良好でない接種医 1 名の平均針痕数は,3.34個(SD4.46)で 7 人の接種医の平均針痕数より有意に低かった(P<0.01)。結論 接種医により平均針痕数は有意な違いを認めた。針痕の個数が少ないのは特定の接種医の技術に問題があるためで,接種技術水準向上のためには,これらの接種医に対する技術訓練が必要であると考えられた。
著者
松村 秀一 前田 秀一 高橋 淳 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.317-324, 1988-04-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
13
被引用文献数
11 29

ポリピニルアルコール (PVA) の生分解について詳細な検討を行い, 活性汚泥により生分解を受けることを認めた. 細菌としてPseudomonas sp. M1及びPseudomonas putida M2などがPVAのポリマー部分分解菌として単離された. これらを用いた試験からポリビニルアルコールの優れた生分解性が確認された. さらに, ビニルタイブの生分解性を有する高分子電解質の分子設計としてポリアクリル酸ナトリウムの主鎖中に生分解性を有するポリビニルアルコール単位を有するポリ [(アクリル酸ナトリウム) -co- (ビニルアルコール)] [P (SA-VA)] を酢酸ビニルとアクリル酸を共重合させることにより合成し, 得られたものの生分解について検討を行った. その結果P- (SA-VA) は土壌で生分解を受けることが見いだされた. また, 共生的に働いているPseudemonas sp. C1及びC2の2菌株がP (SA-VA) のポリマー部分分解菌として単離, 同定された.
著者
前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.289-295, 2004

電子メディアの出現によって,世の中の情報の絶対量が増えるとともに,代表的なアナログメディアである紙の役割が変ってきた.従来,紙は情報の記録と表示という二つの機能を担ってきたが,記録機能については電子メディアに代替されつつある.一方で,電子メディアでは実現不可能な,紙の高い表示機能が評価されるようになってきた.その優れた視認性の理由から,紙はデジタル情報と人を繋ぐインターフェースとして必要不可欠な存在となっている.今後の紙メディアと電子メディアの関係は,オフィス文書のように共存共栄するもの,新聞のように補完関係が成立するもの,書籍の電子化にみられるように紙が電子メディアに代替されるものなどに分類できる.従って,紙メディアの使用量に多少の減少が見込まれるとしても,バリアフリー,メンテナンスフリーといったユーザーフレンドリーな特長を有する紙がこれからも生き続けることは間違いない.
著者
関 なおみ 貞升 健志 甲斐 明美 中島 由紀子 渡瀬 博俊 上田 隆 前田 秀雄 小林 一司 石崎 泰江 広松 恭子 岩下 裕子 本 涼子 神谷 信行 栗田 雅行 田原 なるみ 長谷川 道弥 新開 敬行 林 志直
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.238-250, 2015

<b>目的</b> 2014年 8 月,代々木公園が感染地と推定されるデング熱が発生した。これに対し,東京都の各担当部署が関係自治体と協力して対策を講じた。本経験は公衆衛生活動として他自治体や関係機関に共有すべき貴重な事例であると考え,報告する。<br/><b>方法</b> 8 月26日~11月 5 日に東京都が国内感染のデング熱流行に対して実施した対策について,1)リスクコミュニケーション・情報共有,2)患者への対応,3)蚊への対策,4)検査対応,の 4 分野について経過をまとめ,得られた結果について分析を行った。患者の疫学情報については2014年第 1~44週保健所受理分を対象とした。デング熱の国内感染が疑われる患者の血清および蚊検体の検査は東京都健康安全研究センターで実施した。<br/><b>結果</b> 都庁内に設置されたデング熱専用相談電話窓口に寄せられた相談件数は3,005件であった。東京都が実施した報道発表回数は,患者届出受理数および専用相談電話実績について39回,蚊の対策について 9 回であった。<br/> 東京都における国内感染症例は108件(男性62.7%,年齢中央値31.1(3~77)歳)で,2014年 第35~44週に報告されており,第36週がピーク(35件)となっていた。推定発症日の分布は 8 月 9 日~10月 7 日,推定感染日の分布は 8 月 3 日~10月 3 日であった。このことから,7 月下旬には代々木公園内にデング熱ウイルスに感染した蚊が複数生息していた可能性が示唆された。<br/> 代々木公園で週 1 回実施された蚊の調査(全11回のべ200トラップ)で捕集された蚊の総数は1,152頭で,種の同定においてヤブカ属が73.7%(856頭)であった。ヤブカ属を対象としたデングウイルス検査では,9 月 2 日,9 月 9 日,9 月16日分について陽性となった。<br/> デング熱の国内感染が疑われる患者の血清241件について確定検査を実施し,うち78件が陽性(国内感染症例73件,輸入症例 5 件)となった。ウイルスが検出された国内感染症例の血清および蚊検体の遺伝子解析では,すべて血清型 1 型 遺伝子型I型であり,全株の相同性が埼玉県在住の初発患者から分離されたウイルスの遺伝子配列と99%以上一致し,都内で感染したデング熱患者の原因ウイルスは単一のデングウイルスであった可能性が高いと考えられた。<br/><b>結論</b> 2020年のオリンピック,パラリンピック開催を予定している東京都としては,デング熱をはじめとした蚊の媒介する輸入感染症の国内発生について対策の強化が必要と考えられた。
著者
中澤 肇 木村 和久 前田 秀彦
出版者
日本言語聴覚士協会
巻号頁・発行日
pp.66-76, 2021-03-15

【はじめに】言語聴覚士は,住民運営の通いの場などで地域支援を行っているが,聴覚に関しては講話にとどまっている現状がある.今回,タブレットオージオメータを用いて,施設内で簡易に難聴のスクリーニングを行い,必要な支援につなげられるかを検討した.【方法】研究1)当院で言語聴覚療法を受けていた7名を対象に,防音室内での聴力検査結果と病室でのタブレットオージオメータの聴力検査結果を比較した.研究2)高齢者サークルで支援の要望があった21名を対象に,タブレットオージオメータでの聴力検査と事後アンケートを実施・分析した.【結果】研究1)両条件下での聴力検査結果に強い正の相関(r=.91〜97)がみられた.研究2)軽度以上と判定された難聴者が76%であり,このうちの21%はアンケートより耳鼻科受診や補聴器を検討するとの回答が得られた.【考察】タブレットオージオメータの導入は,高齢者の適切な支援に結び付く可能性が示唆された.
著者
杉原 康平 伊藤 洋平 前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.406-410, 2013-10-10 (Released:2013-10-13)
参考文献数
16

着色剤として硫化物水溶液を用いて,銀薄膜を発色させる新規で簡易的な方法を発見した.特定の硫化物の存在下にて,発色の条件 (濃度,温度など) をコントロールすることで,黄色,赤色,青色,等にさせることができる.この銀薄膜の色変化のメカニズムの解明は,とても科学的見地から意義があると考える.このメカニズムを探求するために銀薄膜や銀ナノ粒子のモルフォロジー,粒径と化学組成について,走査型電子顕微鏡 (SEM),透過型電子顕微鏡 (TEM),X線光電子分光法 (XPS) などで分析を行った.以上の分析結果より,銀薄膜の色変化は銀ナノ粒子の粒径変化による表面プラズモン共鳴が原因ではなく,Ag及びAg2Sの膜間の薄膜干渉が原因であると考える.
著者
一色 信彦 山本 ゆき子 前田 秀夫
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.81-87, 1999-01-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

A 40 year-old woman with adductor spasmodic dysphonia was successfully treated with type 2 thyroplasty, that aimed at lateralization of the vocal folds. Her voice had been characteristic of spasmodic dysphonia; strained, constricted and requiring effort. She had not responded to voice therapy.Under local anesthesia, the thyroid cartilage was incised at the midline and the incised edges were pulled apart to lateralize the vocal folds. A perforation was created at the anterior commissure to enhance the lateralization. The hole was closed with a free composite graft, and the incised thyroid alae were kept 4mm apart with silicone shims. A part of the sternohyoid muscle was shifted medially to cover the free graft for better survival and to block the space between the graft and the silicone shim to prevent infection.The postoperative course was uneventful, and the voice has been restored to normal, without any sign of recurrence as of 1 year postoperatively.The advantages of the technique include: 1. node privation of the physiological functions; 2. less likelihood of recurrence because no nerve regrowth is involved; and 3. revisionis simple in the unlikely event of recurrence (the silicone shimis replaced with a wider one).
著者
篠崎 真 田島 洋 前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.217-228, 2000
被引用文献数
2

溶融型熱転写方式カラープリンターにて三種の用紙に同一条件で印刷しその画質を評価した.<br> 画像境界部の評価ではTEPおよびNEPを評価し,合成紙,多孔性塗膜塗工紙,上質紙の順に画質が優れているという結果が得られた.多孔性塗膜塗工紙はTEPでは合成紙に近い値を,NEPでは上質紙に近い値を示した.<br> 階調再現性においては,合成紙は階調再現性が忠実であり,上質紙はややアンダー気味,多孔性塗膜塗工紙はややオーバー気味,という傾向が見られた.多孔性塗膜塗工紙は30%程度以下の網点面積率においては合成紙とほぼ同等の性能を示し,また網点面積率の高い領域では本実験の印字モードでは過剰に転移するという結果が得られた.<br> モトル評価および粒状性評価では,上質紙に比べて合成紙と多孔性塗膜塗工紙は優れているという結果を得た.<br> 上述の印刷品位は表面粗さでほとんど説明できると思われるものの,なかで多孔性塗膜塗工紙は特異な傾向を示している.多孔性塗膜塗工紙は表面の多孔性塗膜によって吸液性,断熱性,クッション性が付与され,それらが上記の特徴を与えたものと考えられる.
著者
田中 明子 土師 知行 新正 由起子 前田 秀明 竹林 慎治 八木 伸也
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.939-943, 2000-11-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

We report 2 adult cases of inspiratory dyspnea caused by an epiglottal prolapse.The first case was a 61-year-old man who was suffering from inspiratory dyspnea, especially while sleeping. A laryngofiberscopic examination revealed that the epiglottis was contacting the posterior pharyngeal wall during inspiration, causing airway obstruction. A partial epiglottectomy with a Holmium: YAG laser improved respiratory dystress during sleep.The second case was a 60-year-old man who also suffered from dyspnea while sleeping. The laryngofiberscopic findings were the same as in the first case, and a partial epiglottectomy was also effectve for the dyspnea during sleep. A pathological examination revealed degeneration of the epiglottic cartilageThe Holmiun: YAG laser was useful in resecting the epiglottic cartilage in both cases.
著者
下嶋 浩 雉本 信哉 佐藤 治 前田 秀 斎藤 敦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.59, no.562, pp.p1803-1808, 1993-06

Motions of human arms are analyzed kinetically and kinematically with respect to smoothness. A kinematic arm model with 6 degrees of freedom is suggested and spatial motions are simulated considering the sum of the weighted square of joint displacements, which approximately equals kinetic energy of the whole arm. A low-pass filter is applied for smoothing the kinetic state variables, i. e. , displacement, velocity, and acceleration, and the smoothing transfomation is optimized from the aspect of characteristics of response and vibration. Such transformation is also applied to the human arm model, and the effects are investigated through simulations.
著者
前田 秀之
出版者
福井大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

遺伝子組換えマウスの維持方法として卵巣移植法がとられることがある。しかし、マウスが突発的な事故により死亡し、レシピエントマウスを購入しなければならない場合には対処できない。緩慢凍結により保存する方法が取られることもあるが、プログラムフリーザーを必要とするので容易に行えるものではない。これらに対処する方法として、また卵巣の低温輸送の実用化を考え、今回はマウス卵巣の短期間の保存を検討することにした。蛍光励起ライトで可視化できるC57BL/6-Tg(CAG-EGFP、以下GFPマウス)5週齢から卵巣を採取した。レシピエントマウスには8週齢のC57BL/6を用い、1個の卵巣を2つに分けて1匹に移植し、回復後にC57BL/6雄マウスと交配し産仔を得た。確認は産仔が、GFP発光するものはドナーマウスであるGFPマウスの卵巣由来と判断した。低温保存の検討は2段階で行い、実験(1)は、生理食塩水、胚の培養に用いるKSOM液、胚の凍結保存剤であるDAP213液、ミネラルオイルを選択して行った。選択した液を1cc入れたチューブの中に、1匹のGFPマウスの卵巣を入れ4℃で12時間保存した。保存後は、室温の生理食塩水で洗浄した後に移植した。この結果により保存液を決定した。実験(2)は、保存液としたものに実験(1)と同様に卵巣を入れ、4QCで24時間、48時間、72時間保存後に移植し保存期間を検討した。なお、対照として保存時間0時間の卵巣を移植した。実験(1)で使用した4種類の保存液では、卵巣を生理食塩水に入れ4℃で12時間保存したものと、コントロールでのドナーマウス由来のGFP仔マウス出生率が34.2%と35.6%と差が少なかったことと出産したレシピエントマウスの数でも、それぞれ6匹と7匹と差が無いことより、生理食塩水を保存液として使用できることが確認できた。実験(2)より24時間保存での出生率は24.4%、48時間のものでは19.8%との結果が得られたこと、72時間保存したものでは出産が確認できていないかったことより、卵巣の4℃での保存は48時間以内と考える。