著者
斎藤 文雄 松岡 芳隆
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.578-584, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15

主抗原としてalkane-α, β-diols, alkane-α, diolsを含有する水添 (還元) ラノリン (HL) 過敏者はエタノール, メタノール, 2-プロパノールと高率に交差することを既に報告した。エタノール接触アレルギーの17例を経験し, アルコール類, ラノリン誘導体間の交差感作について検索した。エタノール過敏者の主要原因物質は化粧水 (7例), アルコール飲料 (4例), 化粧水とアルコール飲料1例, 抗真菌剤2例, 抗化膿剤2例, 制汗剤, 防臭剤各1例であった。エタノール過敏者17例中9例はメタノールに, 6例は2-プロパノール, 5例はHL, ウールアルコール (WA) に, 2例はラノリンにそれぞれ交差反応を示した。化粧水, エタノール, アルコール飲料過敏者においてアルコール類とラノリン誘導体間の交差感作を調べた。1例はn-ブチルアルコール, n-アミルアルコール, HL, WAに, 他の1例はシンナミックアルコール, シンナミックアルデハイド, ラノリン, HL, WAにそれぞれ交差反応を示した。また2例はアルコール飲料の摂取により汎発性の発疹を生じた。
著者
斎藤 文雄 松岡 芳隆
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.578-584, 1985

主抗原としてalkane-α, β-diols, alkane-α, diolsを含有する水添 (還元) ラノリン (HL) 過敏者はエタノール, メタノール, 2-プロパノールと高率に交差することを既に報告した。エタノール接触アレルギーの17例を経験し, アルコール類, ラノリン誘導体間の交差感作について検索した。エタノール過敏者の主要原因物質は化粧水 (7例), アルコール飲料 (4例), 化粧水とアルコール飲料1例, 抗真菌剤2例, 抗化膿剤2例, 制汗剤, 防臭剤各1例であった。エタノール過敏者17例中9例はメタノールに, 6例は2-プロパノール, 5例はHL, ウールアルコール (WA) に, 2例はラノリンにそれぞれ交差反応を示した。化粧水, エタノール, アルコール飲料過敏者においてアルコール類とラノリン誘導体間の交差感作を調べた。1例はn-ブチルアルコール, n-アミルアルコール, HL, WAに, 他の1例はシンナミックアルコール, シンナミックアルデハイド, ラノリン, HL, WAにそれぞれ交差反応を示した。また2例はアルコール飲料の摂取により汎発性の発疹を生じた。
著者
斎藤 文雄 宮崎 知子 松岡 芳隆
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.636-643, 1984

香料のpeppermint oilは約18種の組成を有するが, 主要成分はmenthol, menthoneである. carvone, limoneneを主成分とするspearmint oilと16種の共通組成を有する. Peppermint oilアレルギー性接触皮膚炎 (ACD) はpeppemnt oilまたはmentholを数%に配合された湿布剤 (トクホン, サロンパスなど) によって惹起されたが, peppermint oilとmentholをそれぞれ約8-16%の高濃度に配合された中国製軟膏 (万金油-Tiger balm, 清涼油など) によっては高頻度の発生をみる. 中国製軟膏ACD群9/15例 (60%), 華陀膏ACD群0/4例, 日本製軟膏ACD群 (ムヒ, メンターム, メンソレターム) 1/4例, 湿布剤ACD群8/16例 (50%) の計18例にpeppemint oil接触アレルギーがみられた. そのうちの10例は主成分がmentholである. Peppemint oilアレルギー6例, peppemint oilとspearmint oilアレルギー4例の計10例に24種の組成でパッチテストを行ない, menthol以外の抗原を検索した. その結果はmentholのみ陽性1例, menthyl acetateのみ陽性1例, pulegoneのみ陽性2例, menthol, menthofuran陽性1例, menthol piperitone陽性1例, menthol, menthofuran, piperitone陽性1例, menthofuran, piperitone陽性1例, pulegone, dihydrocarvyl acetate陽性1例である. Pulegone, dihydrocarvyl acetate陽性例は交差反応と推定されるが, 多くの症例は多価過敏性である. Peppemint oilの主抗原はmentholであるが, 微量に含有されるpiperitone, pulegone, menthofuran, menthyl acetateも抗原となることを証明した. Pepperminot oil, menthol, pulegoneを用いて動物感作実験を実施したが, 感作は不成功に終った. Peppermint oil, metholを高濃度に配合した軟膏や湿布剤の使用は, これらの香料に対する接触アレルギーを誘発する可能性を強調したい.