著者
最所 和宏 豊田 正武 高木 加代子 佐竹 元吉 高橋 悟 山本 裕昭 葛西 健 橋本 勢津 斎藤 行生
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.46-50_1, 1994-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
10
被引用文献数
5 8 2

平成4年4月岩手県岩泉町の山林において野生ミツバチのはちみつによる神経毒症状を呈する中毒事故が発生した. この食中毒の原因物質を検索するため. 中毒はちみつ中の花粉の鏡検を行ったところ, Aconitum 属植物の花粉と形状のよく一致する花粉の存在が確認され, その出現率は68.3%であった. また, このはちみつをラットに投与すると神経毒症状を呈した. はちみつ抽出物のTLCによりアコニチンと同一のRf値を示す物質の存在か認められ, GC/MSのフラグメントイオンによりアコニチンと確認した. そこで牛薬中のアコニチン系アルカロイドの迅速抽出精製法に準拠して, 中毒はちみつ中のアコニチと系アルカロイドを抽出し, HPLCにより定性・定量を行った. 中毒はちみつ中のアコニチンレベルは10.7ppmであり, この濃度はヒメダカ致死試験による推足値と一致した. 以上より. はちみつによる本食中毒の病因物質はアコニチンと推定した.
著者
高木 加代子 豊田 正武 藤山 由起 斎藤 行生
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.67-73_1, 1990-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
19 30

ジャガイモ中の, α-チャコニン (CHA), α-ソラニン (SOL) の煮沸, 電子レンジ加熱, フライによる減少を調べた. 両アルカロイドは5%酢酸溶液で抽出し, Seppak C18 で精製した後, 高速液体クロマトグラフィーで定量を行った. CHA及びSOL含量は, 煮沸しても減少が見られず, 電子レンジ加熱で若干の減少が認められた. フライの場合は油の温度による影響が大きく, 150°では両アルカロイドの減少が見られず, 170°では減少の見られる場合があったが, 変動が非常に大きく有意とは認められなかった. 210°ではCHAで 35.1%, SOLで40.3%の減少が認められた. 一般家庭における調理の加熱条件ではCHA及びSOLは大部分残存し, 除去効果は期待できないことが確認された.
著者
根本 了 清水 亮子 木川 寛 佐々木 久美子 斎藤 行生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.233-243_1, 1995
被引用文献数
4

ホキシムはGC測定で熱に不安定なことから, 測定に適した注入口温度及びカラム温度について検討した. ホキシムの日常分析法として, 内径0.53mmのキャピラリーカラムを使用したGC-FPD測定による迅速な分析方法を作成するとともに, 妨害成分の影響によりGC-FPD測定が困難な場合には, GC/MS (SIM) 測定により定量する方法を設定した. 農産物に残留基準値濃度のホキシムを添加した場合の回収率は75.3~95.1%であった. また, マススペクトルを測定するのが困難な農産物中の低濃度のホキシムの確認法として, GC/MS (SIM) 測定によるフラグメントイオンの相対強度比を用いた方法について検討したところその有用性が示唆された.