著者
忠津 佐和代 梶原 京子 篠原 ひとみ 長尾 憲樹 進藤 貴子 新山 悦子 高谷 知美
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.313-331, 2008

青年期のヘルスプロモーションの視点から,大学生のピアカウンセリング手法による性教育の必要性と教育内容を検討するため,某大学生858人を対象に自記式質問紙調査を行い,以下の結果を得た.性交経験者は,男性では1年生(62.1%)・2年生(77.1%)・3年生(91.1%),女性では1年生(41.5%)・2年生(62.4%)・3年生(70.1%)と学年を上がるごとに増加していた.性に関わる問題の第1の相談相手の割合が最も高いのは「友人(73.1%)」であり,性に関わる意識や行動に最も影響を与える第1のものも「友人(45.5%)」であった.性の問題の相談場所がない者が24.0%いた.大学生のピアに対する期待は,具体的な知識に加え,交際相手とのトラブルへの対応や避妊法の具体的な技術指導,ピアカウンセリングが包含する相談しやすい人や秘密の守られる場の提供であった.最も知りたい内容は,21項目中,「性感染症の知識(47.0%)」で,以下2割以上は「男性と女性の心理や行動の違い(46.3%)」,「エイズ(44.8%)」,「愛とは何か(40.5%)」,「緊急避妊法(39.6%)」,「避妊の方法(35.8%)」,「異性との交際のしかた(34.8%)」,「セックス(性交)(29.3%)」,「自分の体について(27.2%)」,「性の人生の意味(26.1%)」,「性欲の処理のしかた(24.9%)」,「思春期の心理(23.6%)」,「性に関する相談機関(22.0%)」の12項目であった.以上から,青年期にある大学生にもピアによる性教育の潜在的・顕在的ニーズがあること,その教育内容として心理的・性行為付随側面のニーズが高くなっていることが窺える.この時期のQOLを実現するため,新入生の時期からピアカウンセリング講座やピアカウンセリングが展開できる場やサポート環境を整えていくことが求められる.
著者
"忠津 佐和代 梶原 京子 篠原 ひとみ 長尾 憲樹 進藤 貴子 新山 悦子 高谷 知美"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.313-331, 2008
被引用文献数
3

"青年期のヘルスプロモーションの視点から,大学生のピアカウンセリング手法による性教育の必要性と教育内容を検討するため,某大学生858人を対象に自記式質問紙調査を行い,以下の結果を得た.性交経験者は,男性では1年生(62.1%)・2年生(77.1%)・3年生(91.1%),女性では1年生(41.5%)・2年生(62.4%)・3年生(70.1%)と学年を上がるごとに増加していた.性に関わる問題の第1の相談相手の割合が最も高いのは「友人(73.1%)」であり,性に関わる意識や行動に最も影響を与える第1のものも「友人(45.5%)」であった.性の問題の相談場所がない者が24.0%いた.大学生のピアに対する期待は,具体的な知識に加え,交際相手とのトラブルへの対応や避妊法の具体的な技術指導,ピアカウンセリングが包含する相談しやすい人や秘密の守られる場の提供であった.最も知りたい内容は,21項目中,「性感染症の知識(47.0%)」で,以下2割以上は「男性と女性の心理や行動の違い(46.3%)」,「エイズ(44.8%)」,「愛とは何か(40.5%)」,「緊急避妊法(39.6%)」,「避妊の方法(35.8%)」,「異性との交際のしかた(34.8%)」,「セックス(性交)(29.3%)」,「自分の体について(27.2%)」,「性の人生の意味(26.1%)」,「性欲の処理のしかた(24.9%)」,「思春期の心理(23.6%)」,「性に関する相談機関(22.0%)」の12項目であった.以上から,青年期にある大学生にもピアによる性教育の潜在的・顕在的ニーズがあること,その教育内容として心理的・性行為付随側面のニーズが高くなっていることが窺える.この時期のQOLを実現するため,新入生の時期からピアカウンセリング講座やピアカウンセリングが展開できる場やサポート環境を整えていくことが求められる."
著者
"塚原 貴子 新山 悦子 笹野 友寿"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.95-101, 2005
被引用文献数
1

"看護学生106名と栄養科学生54名を対象に,アダルト・チルドレンの特性(以下AC特性と略記)が看護学生と他学部学生で差があるのか,また,AC特性と対人関係のストレスの自覚との関係を明らかにすることであった.看護学生のAC得点の平均値は10.63(SD=4.85),栄養科学生の平均値は9.30(SD=4.73)で有意差(p>0.05)は認められなかった.対人関係でのストレスの自覚の程度の合計平均値は,看護学生6.57(SD=2.31),栄養科学生の平均値は5.78(SD=1.69)で有意(p<0.05)に看護学生が高かった.AC得点と対人関係のストレスの自覚の程度をピアソンの積率相関係数にて検討した結果,0.587(p<0.01)で比較的強い相関が認められた.看護学生のみに,「親との対人関係」や「先輩・教員との対人関係」でのストレスの自覚とAC得点に相関が認められた.看護学生にAC特性が高いとは言えないが,AC得点の高さとストレスの自覚の強さが関連していた.看護学生は,臨地実習などで対人関係を使った学習が要求され,ACの心理的特性が対人関係を経験することで顕在化している可能性が示唆された."
著者
塚原 貴子 矢野 香代 新山 悦子 太田 茂
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.235-242, 2010

本研究の目的は,大学生が外傷体験を筆記により開示することが,心身の健康に及ぼす影響を検討することであった.実験参加者は,A大学の学生で研究の同意が得られた対象に外傷体験の重症度を測定する出来事インパクト尺度 (Impact of Event Scale Revised:IES-R) の調査を行い得点の高かった12名である.実験は,外傷体験を事実と感情に分けて15分間筆記した後に読み返しをするトラウマ筆記群と,1週間の日常を筆記する統制群とに無作為で分け,3日間行った.開示の影響を評価するため,IES-R調査の他に精神的健康度(General Health Questionnair:GHQ60)調査,唾液アミラーゼ活性によるストレス度調査,近赤外光トポグラフを用いた前頭部の血流測定,継続的な脈拍測定を行った.その結果,IES-R得点,GHQ60の得点がトラウマ筆記群で有意に低減した.身体的な評価指標には個人差があり,明らかな効果は認められなかったが,筆記による開示のストレス軽減効果の可能性は示唆された.
著者
"新山 悦子 塚原 貴子 笹野 友寿"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.117-122, 2005
被引用文献数
3

"看護学生107名を対象にアダルトチルドレン(Adult children;以下,ACと略記)特性とバーンアウト(Burnout Syndrome;以下,BOと略記)との関連を明らかにするために,自記式質問紙調査を実施した.その結果,BOの平均値は3.53(SD=0.98)であり,燃え尽き度は先行研究よりも燃え尽き傾向〜うつ状態の者が多かった.またAC特性の平均値は10.18(SD=4.84)であり,AC特性のカットオフポイントであると指摘されている12点以上の者が40.19%であった.AC特性からBOが出現するという仮説のもと,AC特性がBOをどの程度予測しうるかを調べるため,AC特性を独立変数,BOを従属変数として単回帰分析を行なった.その結果,AC特性からBOへの影響については,連続性を積極的に支持することができ,本研究の仮説をほぼ支持するものと考えられた.特に「私は情け容赦なく自分を批判する」「私は何でも楽しむことができない」「私は自分のことを真剣に考えすぎる」「私は他人と親密な関係を持てない」「私は自分が変化を支配できないと過剰に反応する」の5項目がBO得点と関連が強かった.AC特性はBOを導き,さらに自尊感情の低下と関連がある可能性が示唆された."