著者
福丸 大智 赤松 良久 新谷 哲也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00234, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
19

本研究では,中小河川における流域一貫の即時的かつ高精度な河川水位予測実現に向けて,深層学習を用いた河川水位予測モデルを構築し,入出力層に用いるデータの種類および入出力層の構造が異なる複数の計算条件で比較することによって,モデルの高度化について検討した.その結果,集水域内全地点の雨量および水位変化を入力層に用いて集水域内全地点の水位を同時予測するモデルにおいて,ハイドログラフの時系列全体の再現性を表すNash係数がほとんどの水位観測所で0.9以上,ピーク水位の誤差率は10%以下を示し,ピーク水位発生時刻の遅れも他の条件に比べて軽減した.したがって,このモデルを用いることにより,3時間先の流域全体の河川水位をより高精度に予測可能であることが示された.
著者
岩本 直弥 新谷 哲也 芝崎 麗央 夏池 真史 山田 雄一郎 横山 勝英
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_1159-I_1164, 2018 (Released:2018-11-10)
参考文献数
9

気仙沼湾を対象として,貝毒原因プランクトンAlexandrium tamarenseの分布と流動の関係を,現地観測と三次元流動シミュレーションから検討した.2013年はA. tamarenseが気仙沼港の奥部で発生して大島瀬戸へ移流したと推測された.2014年の計数データからA. tamarenseの移動指数を作成し,大島瀬戸における平均流速との関係を調べたところ,正の相関が認められた.以上から,A. tamarenseは1週間程度かけて湾奥から湾内全域に拡散すると推測された.三次元流動シミュレーションにより,中立浮遊粒子を気仙沼港奥部の底層に配置して,その挙動を調べた.粒子は気仙沼港内で鉛直循環流により表層に巻き上げられてから南部に移流し,2日後には西湾を下るものが33 %,大島瀬戸へ移動するものが12 %になった.渦鞭毛藻類の日周鉛直移動を考慮することで,移動メカニズムを把握できる可能性が示唆された.
著者
松村 健史 守村 融 新谷 哲也 横山 勝英
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1039-I_1044, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

複雑な平面形状を有する筑後川感潮河道を対象として三次元流動シミュレーションを構築し,大潮期の塩水遡上の特徴について検討を行った.2002年9月の観測データを用いて精度検証し,水位,塩分,流速のいずれも十分な再現性があることを確認した.三次元計算の結果,本川・筑後川と比べて支川・早津江川における塩水の遡上・後退運動は活発でないことがわかった.これは,支川の河道距離が本川に比べ長く,また河道は蛇行し,川幅が途中で狭まっていることが原因と考えられる.さらに,本川においても導流堤の存在により,左右岸で塩水の挙動が異なり,左岸側澪筋において,水深が深いために塩水運動が活発であるとことが分かった.三次元流動シミュレーションにより河道地形が塩水遡上の時空間変動におよぼす影響を理解することができた.