著者
高橋 栄美 硲 光司 新谷 知久 本間 英司 深田 靖久 松居 喜郎
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.257-262, 2004 (Released:2005-05-27)
参考文献数
11

心不全末期の拡張心に対する新しい左室縮小形成術(Overlapping cardiac volume reduction operation ; OLCVR, 松居法)10症例の麻酔を経験した. 低濃度のセボフルランと静脈麻酔で行った. 体外循環離脱時には経食道心エコーで左室壁運動や容積の変化を観察しながら, 適切な前負荷を保つことと後負荷の軽減に重点を置き, カテコラミンおよび血管拡張薬の使用法に留意することが重要である.
著者
新谷 知久 成松 英智 並木 昭義
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.858-864, 2008-09-12 (Released:2008-10-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ロクロニウムは静脈内投与した後ほとんど代謝されずに速やかに肝臓に取り込まれ, 大半は胆汁中に, 一部が腎から尿中に排泄される. 腎機能が低下した患者においては, ロクロニウムの作用持続時間は変わらないとする報告や延長するという報告があり一定の結論が得られていない. 一方, 肝機能が低下した患者では作用持続時間は延長すると報告されている. また, 肝移植術の際に移植肝が正常に機能しなかった患者において, ロクロニウムの血漿濃度上昇や, 筋弛緩効果からの回復時間遅延を認めたとの報告がある. 肝・腎機能に障害をもつ患者や移植術においてロクロニウムを使用する際には, 筋弛緩モニターを行い慎重に投与量を調節して管理する必要がある.
著者
新谷 好正 伊東 雅基 井戸坂 弘之 中林 賢一 卯月 みつる 新谷 知久 早瀬 知 馬渕 正二
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.889-896, 2014 (Released:2014-11-25)
参考文献数
36
被引用文献数
1

脳動脈瘤の開頭手術において, クリッピングのために瘤の減圧を要する場面に時折遭遇するが, 母血管の一時遮断が困難な例がみられる. そのような例に房室伝導を強力に抑制する作用をもつadenosine triphosphate (ATP) の急速静注による短時間の循環停止 (transient cardiac arrest : TCA) 法が有効である. 経験した全例において短時間の心停止に伴う動脈瘤の著明な減圧が得られ, 安全なクリッピングに大きく寄与した. 合併症はみられなかった. TCA法に習熟した麻酔科医との緊密な連携が不可欠であるが, 本法は母血管の一時遮断に並んで考慮すべききわめて有用な方法である.
著者
水上 奈穂美 新谷 知久 山内 正憲 橘 信子 高橋 三佳 山蔭 道明
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.111-114, 2012-06-25

上腕骨悪性腫瘍に対して肩甲帯離断術を施行した患者における,術後の幻肢痛ならびに幻肢感覚に対してガバペンチンが奏効した3症例を経験したので報告する.症例1は切断後5日目にnumerical rating scale(NRS)で2-3/10の幻肢痛が出現し,オキシコドン(10 mg,分2)で対応したが,14日目より幻肢痛がNRSで8/10と増悪したためガバペンチン300 mg/日を開始したところ,痛みはNRSで0-1/10に改善した.症例2は切断前から腫瘍による神経障害痛が出現しており,ガバペンチン300 mg/日の投与によりNRSで5/10から3/10になり痛みの程度の改善を認めた.切断後9日目より生じた右上腕全体の幻肢感覚に対しても,同量のガバペンチンが奏効し幻肢感覚は消失した.症例3は切断後2日目より重量感を伴う幻肢痛が出現したが,ガバペンチン600 mg/日で痛みはNRSで6/10から2/10に改善した.四肢切断後の幻肢痛や幻肢感覚に対して,ガバペンチンは有効であることが示唆された.