著者
日下部 貴彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_21-I_31, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
73

目覚ましい情報通信技術の発展によって交通分野におけるデータに対する関わり方が変りつつある.近年では,継続的・長期的に収集された大量の交通に関わるデータの蓄積が実際にみられるようになってきている.一方,これまでの交通分野では,空間的に広い範囲のデータを時間的に高密度でかつ長期的に収集することは困難であったことから,変動に対する理論的なフレームは必ずしも十分でなかったと推察される.本稿は,これまでの交通分野での研究について,データ取得と蓄積という視点から整理し,新たな枠組みであるデータオリエンテッドな交通研究に焦点をあて,蓄積データを背景とした交通変動の分析に関する展望についてまとめるものである.
著者
日下部 貴彦 柳沼 秀樹 福田 大輔 高橋 哲 今 健 佐野 薫 野村 紗希子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.I_369-I_377, 2020
被引用文献数
1

<p><tt>高速バスは,充実した道路ネットワークのもとでは比較的柔軟に路線を設定できるなどといった特徴を有しており,鉄道を補完する都市間交通手段である.しかし,実際には需要が比較的小さな起終点間を結んでおり運行頻度が少ないことから,利用者の到着希望時刻に合う便がないなどといった不便さも存在する.そこで,方面が異なるバス同士の乗継環境の整備により利用可能なバスの本数を増やすことで,その利便性を向上できると期待される.本研究では,環状道路に近接した高速道路サービスエリア等への乗継専用バス停の設置による高速バスサービスの改善状況を想定したアンケート結果の分析を通じて,利用者にとっての利便性向上の要因把握やバス路線選択行動規定要因の分析を行い,乗継路線及び乗継地点を設</tt><tt>定する際に必要な路線特性を明らかにした. </tt></p>
著者
杉下 佳辰 日下部 貴彦 朝倉 康夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_781-I_792, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
26

局所的な障害が要因となり,連鎖的障害がシステム全体へ波及する現象をカスケード故障(cascading failure)と呼ぶ.ネットワークとして表現できる現実の社会システムでは,ごく少数のノードやリンクで発生した障害がネットワーク全体に壊滅的な損害をもたらし得ることが確認されている.本研究では,カスケード故障による壊滅的損害を回避することを目的とした損害抑制策を提案する.具体的には,局所的障害の発生直後に,Collective-Influenceと呼ばれる指標値の低いノードを意図的に除去することでネットワークにかかる負荷を軽減し,障害の波及を抑制する策を提案する.数値計算によって耐久性の低いネットワークに対しても提案策が効果的に働くことを示すとともに,提案策によって既存の方策を上回る損害抑制効果が発揮される可能性を示唆する.