著者
日色 和夫
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.770-774, 1991-12-30 (Released:2010-03-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1
著者
応和 尚 日色 和夫 田中 孝
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.878-883, 1972-07-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3 4

海水中のppbオーダーのカドミウムの原子吸光定量法を確立した.海水中の微量カドミウムを濃縮するため,第1段階には共沈濃縮法を,第2段階には溶媒抽出法を採用した.海水試料2lに塩化ストロンチウムと炭酸アンモニウムを加えてカドミウムを炭酸ストロンチウムとともに共沈させたのち,沈殿を炉別洗浄後,塩酸に溶かし,pHを7に調節してジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(DDTC)を加えメチルイソブチルケトン(MIBK)で抽出し,有機相の原子吸光測定を行なう.マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムの炭酸塩でカドミウムの共沈を検討し,カドミウムの共沈濃縮には炭酸ストロンチウムが最適であり,溶液量100mlに対し100mgのストロンチウム量で,その回収率はほぼ100%であった.カドミウムの原子吸光定量に対し,ストロンチウムの妨害は最も小さい.炭酸アンモニウムの使用量としては,溶液100mlにつき20%溶液5mlを採用した.炭酸ストロンチウムの沈殿の洗浄法は温水で3回がよく,沈殿の溶解法は,濾紙をビーカー内壁に広げ希塩酸で沈殿を洗い落とし,濃塩酸で溶解する方法が最良である.沈殿を溶解した塩酸溶液,およびこの溶液からDDTCとMIBKで抽出した有機相について検量線を作成したところ,最初の溶液量2l中のカドミウム濃度それぞれ10~100ppb,および1~10ppbの範囲内で直線の検量線が得られた.後者の場合の感度は,吸光率1%あたりの濃度として0.1ppbである.大量の塩化ナトリウムの存在は検量線作成に影響を与えない.炭酸ストロンチウムの沈殿を塩酸に溶解させ,アンモニア水で中和するとき,pH 8以上になると白沈が生成する.この沈殿生成は緩衝溶液を用いてpHを7に調節することによって防止できる.本法で模擬海水中の0.5~8.0ppbのカドミウムを定量し,回収率はほぼ100%であった.また瀬戸内海と日本海の海水実試料中のカドミウムを定量し,約0.1~10ppbの値を得た.本法によって大量の海水試料中の微量カドミウムを効果的に短時間内に濃縮し,高感度で定量することができる.
著者
宗森 信 山本 勇麓 日色 和夫 田中 孝 熊丸 尚宏 林 康久 都甲 仁
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.T19-T23, 1978-05-05

2種類の合成試料水中のヒ素の分析に関する共同実験を行った.参加分析所は12箇所,分析方法はJISK0102-1974に規定されたジエチルジチオカルパミン酸銀-吸光光度法を用い,各分析所では1口2回ずつ3日間で計6回の分析を実施した.試料Aではヒ素含有量の標準値0.0220ppmに対し定量値の総平均値が0.0222ppm,試料Bでは0.0250ppmに対し0.0255ppmであった.試料Aでは定量結果は正確であったが,分析所間のばらつきが比較的大きく,又3箇所の分析所では分析所内平均値が管理限界を越えていた.一方,共存物質が存在する試料Bでは分析所内及び所間のばらつきは小さかったが,量結果に偏りがあった.
著者
日色 和夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.T9-T12, 1979-02-05
被引用文献数
4 2

環境分析技術協議会会員42分析機関による工場排水中の全クロム定量の共同実験を行った.合成排水試料は3種,分析法はJIS K 0102-1974に示されているジフェニルカルバジド吸光光度法によった.まず試料Iを分析機関に配布して74個のデータを集めた.その結果,クロムの平均定量値は1.92mg/l,標準偏差パーセントは14.0%であった.次に試料IIを分析した.この場合は硝酸-硫酸又は硝酸-過塩素酸による有機物の分解操作及びクベロン-クロロホルム抽出法による除鉄操作を採用することにした.試料中に多くの共存物質を含んでいたために,結果の標準偏差パーセントは22.2%であった.試料吸光度が0.4より高い場合には底値が得られた.更に試料IIIを分析した.この場合,分析操作法を詳細に定めたところ,標準偏差パーセントは19.5%であった.以上の結果から,JIS K 0102-1974で示されているジフェニルカルバジド吸光光度法で排水中の全クロムを分析する場合,組成の複雑な試料では標準偏差パーセントを20%以下にすることはかなり困難であるという結論を得た.