- 著者
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原 茂樹
松尾 博
熊丸 尚宏
- 出版者
- 公益社団法人日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.6, pp.503-507, 1986-06-05
- 被引用文献数
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金,白金をクロロ錯イオンとした試料溶液にヨウ化カリウム溶液並びにテトラデシルジメチルベンジルアンモニウム(ゼフィラミン)溶液を加えると,金(III),白金(IV)はそれぞれヨード錯イオンとしてゼフィラミンとイオン対を形成し,クロロホルムによって定量的に抽出される.この溶媒抽出系を利用する金,白金の同時黒鉛炉原子吸光定量法について検討した.水相/有機相の体積比(V_w/V_o)が15ml/2mlの場合,水相中のヨウ化カリウム濃度を0.06〜0.25M,又,ゼフィラミン濃度を5×10^<-4>〜4×10^<-3>Mに保てば,金(III)又は白金(IV)は4M塩酸酸性からpH11付近までの検討範囲において定量的に抽出される.検量線は水相中の金(III)の濃度が1.0μg/15ml(67ng/ml),白金(IV)の濃度が20μg/15ml(1.3μg/ml)までの簡囲で直線性を示し,1%吸収感度は金について0.21ng/ml,白金については7.9ng/mlであった.金(III)を0.25μg,白金(IV)を10μg含む水相について10回の繰り返し実験によって求めた相対標準偏差は金について2.3%,白金については2.4%であった.金(III)に対する銅(II)の干渉は抽出時に水相中に1,10-フェナントロリンを添加することにより,又,白金(IV)に対するクロム(VI),マンガン(VII),ヨウ素酸,過ヨウ素酸の各イオンの干渉はヒドロキシルアンモニウムの添加により,それぞれ除去することができた.本法を銀-白金-金合金試料中の金,白金の定量に応用し,満足な結果を得た.