- 著者
-
早瀬 和利
- 出版者
- 愛知教育大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-10-21
本研究の目的は,脳タンパク質合成を例として,脳機能におけるタンパク質非構成アミノ酸であるGABAの役割について,調節メカニズムを明らかにすることである。今年度は,GABAによる脳タンパク質合成の調節における成長ホルモンの役割をさらに明らかにするため,GABAの投与方法並びに消化管ホルモンのグレリンの体内濃度について検討した。24週齢の雄ラットをmeal-feedingに慣れさせた後3群に分け,2群には20%カゼイン食,残りの1群には20%カゼイン+0.5% GABA食を単回摂取させ,3時間後に解剖した。20%カゼイン食摂取群の1群には,30 mg/100gBWのGABAを,残りの2群には生理的食塩水を,解剖前1時間に静脈注射した。血中成長ホルモン濃度,血中グレリン濃度をELISA法により決定した。GABAの投与方法として,静脈注射による投与では,血中成長ホルモン濃度は変化せず,食餌から20%カゼイン+0.5% GABA食として投与した場合は,GABA摂取によりこれまで同様有意に血中成長ホルモン濃度が増加した。同様に血中グレリン濃度についても,食餌よりGABAを投与した時のみ,有意に増加した。グレリンは,成長ホルモン分泌促進作用が知られており,以上の結果から,GABAによる脳タンパク質合成速度の増加において,GABAが体内グレリン濃度を上げることにより,成長ホルモンの分泌を増加させ,脳タンパク質合成を促進する可能性が示唆された。