著者
時任 隼平 寺嶋 浩介
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.15-29, 2018-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
38

本研究の目的は,学校改善を担うスクールミドルの成長発達に寄与する教職経験の具体を明らかにする事である.学校改善に取り組む2つの公立高校を研究事例とし,スクールミドル5名を対象にインタビュー調査を実施した.複線径路等至性アプローチを用いて分析した結果,スクールミドルは校務分掌の一環としてパイオニア径路とフェロー径路のいずれかを経た経験を持つ事が明らかとなった.具体的には,パイオニア径路の教師は分掌内で学校改善案を発案し分掌内外の教師との関係調整等を行い,フェロー径路の教師よりも強くリーダーシップを発揮している可能性が示唆された.また,フェロー径路の教師はパイオニア径路の教師とは異なる役割を自律的に担った経験等を経ていた.径路進行の際には受験指導等を重視する学校文化との衝突が生じ,スクールミドルは同僚グループによる協力体制を形成した上で先輩教師からの支援を受けた経験を経ている事が明らかとなった.
著者
杉原 真晃 橋爪 孝夫 時任 隼平 小田 隆治
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.341-349, 2015-03-20 (Released:2016-08-11)

本研究では,大学初年次教養教育科目としてのサービス・ラーニングにおける現地での活動の質の向上という課題に対して,地域住民とともに活動を行う参与型の実践,評価者に地域住民も加わる実践,地域住民と教員が協働で評価基準を開発・活用するケースについて,評価基準の協働作成と学生への提示の有効性を検討した.その結果,現地での活動の目標の意識化・再設定,意義・方法・役割の明確化,現地の人々や他学生との意義の共有・一体感の獲得等に対して,評価基準が有用であることが明らかとなった.学習成果との関連については,評価基準に示された項目の中で,現地にて重要視されており,学生がそれを達成し,評価基準がそれに対して有用であったと感じられた項目が多い結果となり,本授業で活動・学習の質の保証・向上が概ね達成されており,協働作成した評価基準が有効に機能したことが明らかとなった.